統一と貨幣
B08 — 横断テーマ

規格をひとつにする。けれど、顔はそれぞれのまま。
監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 8 分(本文 3,929 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 11 問・実物 5 点・読む教材 11 停
この科目で、できるようになること
- 規格の統一と、発行主体の統一を、別のこととして扱えるようになる。
- 共通の機関を持たない同盟の弱点を説明できる。
- 統一が「上から」進んだ例と「結婚で」進んだ例を区別できる。
- 統一の記述を読むとき、何が統一されて何が残ったかを確かめられる。
- ドイツ統一を「帳簿の上の統一が先行した」過程として説明できる。
- ユーロ発足の実務(名前・収斂・固定・現金化)を年を追って言える。
レッスン(8節)
- 揃えるものと、残すもの統一には規格の統一と発行主体の統一がある。多くの統一は前者だけ。
- 罰する術のない同盟は、内側から破られる守らせる機関のない統一は、必ず内側から破られる。条文があることと効くことは別。
- 上から進む統一と、結婚で進む統一法による統一は設計でき、結婚による統合は設計できない。進み方が結果の形を決める。
- 統一が壊れるとき、何から壊れるか統一を多く語る国は、分裂の経験も多い。統一と分裂は往復する。
- 軍旗より先に、帳簿 — ドイツの静かな統一関税同盟・鉄道・貨幣協定。ドイツは戦場より先に、帳場で統一されていった。
- 十七州の、二つの共通 — カロルスグルデン共通の君主の顔と、共通の名。金属から自立した「名前への信用」が、統一の実体だった。
- ユーロの設計図 — 名前・収斂・固定・現金ユーロは四段で作られた。最後の平価だけが、政治の意思ではなく計算だった。
- 同盟より長生きする規格 — LMU の遺言同盟は跛行し、裁けず、消えた。けれど規格は同盟の外にまで広がり、同盟より長く生きた。
読む教材(11)
- 帝国貨幣令 ドイツ 1566年〜 帝国の各領邦の造幣所
第1節。規格は共通、顔は各領邦という折衷が、そのまま書かれています - ラテン通貨同盟 フランス 1866〜1885年 スイスの銀行の窓口
第2節。罰する術のない同盟が内側から突かれる場面です - 一八七一年 ドイツ 1871・1873年 帝国の造幣所
第3節。法で統一する例。マルクという名前の由来にも注目してください - 封建とヴァイキングの銭 フランス 9〜10世紀 西フランク王国
第4節。統一した貨幣が再び分散していく過程です - 関税同盟 ドイツ 1834〜1838年 ドイツの商家の帳場
第5節。「軍旗より先に、帳簿の上で」。夜の帳場の情景ごと読んでください - カロルスグルデン オランダ 1521〜1543年 十七州、帳簿の上
第6節。名前への信用という、四百年早い管理通貨の芽 - 強いフラン フランス 1995〜1999年 フランス銀行の一室
第7節。「最後の平価だけが、意思ではなく、計算でした」 - ラテン通貨同盟 フランス 1870〜1878年 同盟各国の造幣局
第8節。跛行本位という言葉の由来。溶かせば損、使えば通る - 帝国の通貨 ギリシャ 前450〜前420年代 同盟諸市の広場
統一が折衷ではなく、命令として下りた例です。同盟の諸市に造幣所を閉じさせ、在地の銀貨を回収して改鋳させる布告の中身を読んでください - ドゥカート イタリア 15世紀末 イスタンブルの造幣所
規格の統一は、法だけでなく市場からも起こります。戦い続けた相手の金貨と同じ規格で、自国の金貨を打たねばならなかった理由が書かれています - 統一の前に、銭があった 中国 前336〜前221 秦の徴税の現場
統一とは、物差しを一つにすることでした。度量衡と車軸の幅と文字を揃えた国が、その並びで貨幣も揃え、穀物ではなく銭で税を集めることによって何を手にしたのかが書かれています
評価方法
科目内の演習 11 問(確認 7・比較 1・記述 3)。到達は自己評価で記録します。