言葉の由来
貨幣の言葉が、どこから来たのかを辿ります。

フランクの名を持つ貨幣と男
「フランク人の王」を意味する銘は通貨の名になりました。偉大な王は千年続く銀の制度を定め、遠い土地の印刷業者は紙の信用を支えます。

南を向き、海を越えた王国の勘定
十二世紀後半のカスティーリャは、全面アラビア語銘の金貨を打ちました。南を向いたこの王国から、のちに新大陸の銀に課される税の仕組みが生まれます。

グレインという重さの単位
アメリカのドル銀貨は、三百七十一グレインと四分の一グレインと定められました。インドのルピヤもまた、グレインで語られます。国も時代も違う二つの貨幣をつなぐ、重さの単位の話です。

純銀という一本の線
はじめはほぼ純銀だったローマの銀貨は、やがて銀の割合が二パーセントまで落ち、芯の青銅を隠す薄皮になりました。貨幣に含まれる純銀の重さ。この一つの数が変わるとき、通貨への信もまた変わります。

五百年変わらなかった金貨
イタリアの都市国家ヴェネツィアは、一枚の金貨の規格を五百年以上も変えませんでした。王朝がいくつも興亡する時間、なぜこの金貨は変わることなく、そして広く使われたのでしょう。

秤をいじる者、貨幣を削る者
貨幣の中身を減らして作り直す「悪鋳」。それは発行者に短期の利益をもたらしますが、必ず物価を狂わせます。正しさを語るはずの貨幣が、怒りの的になるときです。

実勢が動かす歴史
法や協定が定める建前の値と、市場が示す本当の値。この二つの間に生まれるずれは、時に富を奪い、時に金属を国境の外へ運び出します。史料が語らない「実勢」の働きを辿ります。

金という一つの約束
紙のお札は、いつでも決まった量の金と引き換えられる。十九世紀の世界が信じたこの約束は、皆が同時に疑わないことを前提にした仕組みでした。その前提は、戦争のたびに崩れます。

ポトシほどの値打ちという言葉
「莫大な富」を意味する言葉になった、南米の銀山ポトシ。その銀は世界を巡り歴史を動かしましたが、産出した土地には富ではなく、おびただしい死が残されました。

正貨で払う人、紙で払う人
同じ品物でも、どちらで払うかで値段が違いました。金貨で払うなら割引き、紙で払うなら割増し。この差が日ごとに動く市がありました。

国の借金が投資になるとき
千五百三十一年に建った取引所では、君主への融資の相場が決まりました。王が個人で借りていた借金は、いつから投資の対象になったのでしょう。その鍵は公債という仕組みにあります。

マネーの根にある神殿
英語の money もフランス語の monnaie も、ローマの丘に立った一つの神殿の名を根に持っています。