一枚を
同定する

ArchaiOptix / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
この一枚は何か、と自分で言えるか。
この一冊を 3 分で
- 同定は三段で進めます。見る(観察)、決める(同定)、書く(目録)。段を飛ばすと、決めた根拠が残りません。
- 正解はすべて実物台帳の値です。名・発行地・年代・素材・形・直径・所蔵。台帳に無い値(量目・写真の無い裏面)は「無い」と答えるのが正解です。
- 観察の課では、写真から言葉にします。素材の色、形、印の作り方、図像、銘。どれが観察で、どれが解釈かを分けます。
- 同定の課では、似た三枚を並べて一枚を選び、どの特徴を根拠にしたかを一文で書きます。根拠の書けない同定は、当たっても同定ではありません。
- 目録の課では、一枚を七つの欄に書き起こします。書けない欄を空欄のまま残す作法が、目録の最初の作法です。
- 三課 × 24 題=72 題。実物 72 点は台帳 415 点から機械で選んだ。
目次
- 前この演習帳の使い方
- 1第 1 課 観察 — 写真から言葉にする
- 2第 2 課 同定 — 三枚から一枚を選び、根拠を書く
- 3第 3 課 目録 — 七つの欄に書き起こす
- 後この演習帳から、どこへ行くか
- 巻末SUMMARY / DATA / QUESTIONS / DRILL / SOURCES / INDEX / REVISION HISTORY
一枚の実物を前にして、それが何かを自分で言えるようになるための帳面です。三つの課に分かれます。第 1 課「観察」は、写真から言葉にする練習です。素材、形、印の作り方、図像、銘。第 2 課「同定」は、似た三枚から一枚を選び、どの特徴を根拠にしたかを書く練習です。第 3 課「目録」は、一枚を七つの欄に書き起こす練習です。
各課の頭に「この課の作法」を置きます。科目 E5(図像学)、E6(銘文)、E4(計量貨幣学)、E9(研究作法)の節から、手順として使える部分だけを抜き出しました。課題の正解は、実物台帳の値そのものです。台帳に無いもの(量目、写真の無い裏面、記載の無い直径)は「無い」と答えるのが正解で、それらしい値を書くことは誤答です。
進め方は毎題同じです。写真を見る。設問に沿って言葉にする。実物データベースの頁を開いて台帳の値と突き合わせる。違っていたら、どこで違ったか(見落としか、解釈か)を書き留める。当たったかどうかより、根拠が書けたかどうかを見ます。
第 1 課 観察 — 写真から言葉にする
図像を読む前に、位置の名前を覚えます。暗記ではなく、指を差せるようになれば十分です。大事なのは二つ。片面だけ見ないこと。表と裏は対で意味を作り、表が「誰が」、裏が「何によって」を語ります。余白も読むこと。何も無い場所は、文字を詰めなかった、像を大きくしなかったという選択の跡です。初期のリディアの一枚には図像がなく、無地であること自体が記録でした。
観察と解釈を分けます。「獅子が見える」は観察、「王の力の象徴」は解釈です。この課で書くのは観察だけです。素材は色で、形は輪郭で、印の作り方は裏面の痕(打ち込みの痕か、彫刻の型か、鋳型の文字か)で、図像は見えるものの名で、銘は読めた文字で書きます。読めない文字は「読めない」と書きます。
「無い」を見つけたら、断定せずに問いにします。無いことには理由がいくつもあります。禁じられた、必要なかった、技術が無かった、摩耗して消えた、見落としている。まず「本当に無いのか、いつから無いのか」と書き留めます。
- この課の実物
- 24 点(8 編)。裏面の写真 24 点、直径の記載 24 点。量目は台帳に欄が無いので、全点で「無い」が正解。
- 正解の出どころ
- 実物台帳(coins)の値と、その実物が登場する停留所(stops)。それ以外の値は書いていない。
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- エレクトロンのトリテ
- 素材と形
- エレクトロン・円形
- 直径
- 直径 13mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- パクトロス川の砂金=銀を含む自然の金エレクトロンに、リディア王アリュアッテスがライオンの印を打った。重さと純度を国家が保証する——貨幣という発明の最初の一枚とされる。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- クロエセイド
- 素材と形
- 金・円形
- 直径
- 直径 16mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- クロイソス王はエレクトロンをやめ、純金貨と純銀貨を別々に鋳造した。世界初の金銀複本位制。「クロイソスのように豊かな」という言葉が残る。図像はライオンと牡牛の対峙。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- ダリク
- 素材と形
- 金・円形
- 直径
- 直径 15mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- ダレイオス1世が帝国の貨幣として定めた金貨。純度の高い金に、弓と槍を持ち駆ける大王の姿だけを打刻し、銘文を持たない。俸給と貢納と外交に使われ、ギリシア側はこの金貨を「弓兵」と呼んだ——スパルタ王が「弓兵に追い出された」と語った故事が残る。図柄をほとんど変えぬまま、アレクサンドロスの征服までおよそ二百年打たれ続けた。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- コリントのペガソス・ステーテル
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 21mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 前四〇〇〜前三七五年頃のコリントのステーテル。径二一ミリ・八・五四グラム。表は飛翔するペガソス、裏は兜のアテナ頭部。コリント貨は「ポーロイ(仔馬たち)」の愛称で呼ばれた。標準は独特で、約八・六グラムのステーテルを二分でなく三ドラクマに分ける。アテナイのテトラドラクマのちょうど半分の重さにあたり、両通貨は併存して流通した。西方植民市の造幣所群でも同じ型が打たれ、シケリア・南イタリアへ広がった。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- アレクサンドロスのテトラドラクマ
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 25mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 前三三〇〜前三二五年頃のテトラドラクマ、重さ一七グラム。表は獅子皮を被るヘラクレス、裏は鷲と王笏を持つ玉座のゼウス、銘は「ΑΛΕΞΑΝΔΡΟΥ(アレクサンドロスの)」。父の銀と違い、帝国全土をアッティカ標準に統一した意図的な転換であり、ギリシャ世界の国際標準がそのまま帝国の標準になった。裏面の蠍の副印はミュリアンドロス打を示す——同じ型を打つ造幣所の網の、所ごとの差のしるしである。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- デナリウス
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 19mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 第二次ポエニ戦争のさなかに生まれたローマの標準銀貨。発行を担う貨幣三人官は、自家の神話や功績を図像に刻んだ——コインは最初のマスメディアだった。のちに帝政下で銀の純度が下がっていく。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- EID MAR デナリウス
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 19mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- カエサルを暗殺したブルートゥスが発行。自由を意味するフリギア帽と二本の短剣、そして「EID MAR=三月十五日(暗殺の日)」の銘。自らの顔と、独裁者を討った日を並べた、史上もっとも政治的な一枚。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- カニシカ1世の金貨(ディナール)
- 素材と形
- 金・円形
- 直径
- 直径 20mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- クシャーナ朝カニシカ一世の金貨ディナール。出典は二十ミリ、七・九九グラム、主造幣所をバクトリアと記す。表の銘はバクトリア語で「諸王の王カニシカ、クシャーナの者」。王は左を向いて立ち、突き棒と笏を持ち、火の祭壇に供物を捧げている。ディナールという呼び名も、その目方の基準も、ローマの金貨から来ている。西から流れ込んだ金が、ここで王の姿に打ち直された。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- コンスタンティヌスのソリドゥス
- 素材と形
- 金・円形
- 直径
- 直径 19mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 三二〇年、ティキヌム造幣所打のソリドゥス。径一九ミリ・四・三八グラム。コンスタンティヌス一世が導入したこの金貨は一リブラから七二枚が打たれ、ギリシャ語を話す帝国東方では「ノミスマ」と呼ばれた——貨幣は自然によってではなく法・慣習(ノモス)によって存在する、とアリストテレスが説いた、その言葉である。名目二四カラットの品位はおよそ七世紀にわたり保たれ、経済史家ロペスはこの金貨を「中世のドル」と名付けた。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- 乾元重宝(背東国)
- 素材と形
- 鉄・円形
- 直径
- 直径 25.9mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 九九六年、高麗の成宗が鋳た鉄銭。唐銭の乾元重宝の様式を借りながら、裏に「東國」の二字を加えて、自らの国の銭であることを名乗った。対契丹交易の文脈で生まれ、型の記録は重さ約九・四グラム・径二五・九ミリ。朝鮮半島の鋳造貨幣は、この一枚から始まる。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- グロ・トゥルノワ
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 25.4mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 1266年7月24日の王令で、ルイ9世は大型銀貨グロ・トゥルノワを発行した。規格は重さ4.22グラム・銀品位958‰で、実在個体は約4.06グラム・直径25.4ミリ。カロリング朝以来、フランスは実質ドゥニエ一種しか持たなかったところへ、八世紀ぶりにまとまった額の王の良貨が現れた。表にクロスと王の名、裏にトゥールの城の意匠と十二の百合を載せ、宗教と王権の二つの権威を一枚に刻む。分裂した貨幣世界に王のものさしを打ち込む一枚だった。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- アクチェ
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 12mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- オスマン帝国の基本銀貨。「白いもの」を意味し、イェニチェリの俸給もこれで払われた。改悪のたびに反乱が起き、帝国の衰えを映す鏡となった。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- 寛永通宝(古寛永・芝銭)
- 素材と形
- 銅・円形
- 直径
- 直径 25mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 寛永十三年、三代家光の代に江戸と近江坂本で鋳造が始まった。乾元大宝から数えて六百七十八年ぶりの国産銭である。芝の網縄手で鋳られたものは芝銭と呼ばれ、草書ふうの点で見分ける。径は二センチ半、量目は一匁ほど。以後二百年余り、庶民の暮らしはこの一枚で回った。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- アウラングゼーブのルピー(沈没船出土)
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 25mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- ムガル皇帝アウラングゼーブの銀ルピー。出典はスーラト造幣所、ヒジュラ暦一一一三年、治世四十六年(西暦一七〇二年)、二十五ミリ、十・三四グラム、KM 300.86 と記す。この一枚はスリランカ沖グレート・バセスの沈没船から引き上げられた。引き上げたのは作家アーサー・C・クラークである。スーラトはムガル帝国最大の貿易港だった。そこで打たれた銀が船に積まれ、海に沈み、三世紀を経て人の手に戻った。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- 東インド会社ルピー
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 30mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- イギリス東インド会社が発行したルピー銀貨。一商社が国家のように税を集め、貨幣を打った時代の証人。やがて女王の肖像に置き換わる。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- 天保通宝(本座長郭)
- 素材と形
- 銅・楕円
- 直径
- 直径 50mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 天保六年創鋳。小判を思わせる楕円に方孔をあけ、裏に「當百」と金座後藤家の花押を鋳込む。縦およそ五十ミリ、量目五匁五分でおよそ二十・六グラム。素材は一文銭五、六枚分しかなく、市中では八十文で通った。書けば百文になるという理屈を、幕府自身が最も粗い形で試した銭である。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- シーテッド・リバティ・ダラー
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 38.1mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 岩に腰を下ろした自由の女神が、LIBERTY の銘を帯びた盾を支え、竿の先に帽子を掲げる。一八六〇年銘のシーテッド・リバティ・ダラー——複本位の建前の下で打たれた標準銀ドルである。折しもネヴァダの銀山は産出を増やし、ドイツの金本位移行が世界の銀価を押し下げようとしていた。千八百七十三年、鋳貨法の改定でこの標準銀ドルは鋳造品目から静かに姿を消す。当時はほとんど誰も気に留めなかったその条項は、数年後「1873年の犯罪」と呼ばれて政治を焼く大火になる。銀の時代の終わりを、まだ知らずに座している一枚。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- トレード・ダラー
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 38.1mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 「420 GRAINS, 900 FINE.」——自らの重さと品位を貨面に名乗り、その下に「TRADE DOLLAR」と署名する。標準銀ドルが品目から消えた千八百七十三年の鋳貨法の時代に生まれた、貿易のための銀貨である。俵に腰を下ろした自由の女神は、オリーブの枝を差し出して海を向く。よその銀貨スペインドルで暮らしを始めたこの国が、こんどは自分の銀貨を海へ送り出そうとしていた。この個体は一八八四年銘。金銀の三十年戦争のさなか、銀は国の内でも外でも、その居場所を争っていた。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- モルガン・ダラー
- 素材と形
- 銀・円形
- 直径
- 直径 38.1mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 「1873年の犯罪」と呼ばれた条文への、政治の答えがこの銀貨である。千八百七十八年のブランド=アリソン法は、政府に毎月一定額の銀の買い上げと銀ドルの鋳造を命じた——モルガン・ダラーの誕生である。名は意匠を設計したジョージ・T・モルガンに由来する。表に E PLURIBUS UNUM の銘と自由の女神の横顔、裏に翼を広げる鷲。金本位は債権者と東部の、銀自由鋳造は債務者と西部南部の通貨——本位制の選択がそのまま階級と地域の対立になった時代、この銀貨は銀の側の旗印として打たれ続けた。この個体は一八七九年銘である。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- メフメト五世の金リラ
- 素材と形
- 金・円形
- 直径
- 直径 22mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 金リラ=百クルシュ。この個体は帝メフメト五世の治世三年、一九一一年の行幸を記念してコソヴァで打たれた一枚で、実測七・一九グラム。一八四四年の矯正が定めた七・二一六グラム・品位九一七の式は、紙が信を失っていく時代にも、帝国の最後までこの重さのまま守られた。矯正の約束を金属で証明し続けた、梯子の頂点である。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- 一銭アルミ貨(富士)
- 素材と形
- アルミ・円形
- 直径
- 直径 16mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 昭和十六年発行。純アルミニウム製で直径十六ミリ、量目〇・六五グラム。前年までの十七・五ミリ〇・九グラムからさらに削られ、昭和十八年の後期には〇・五五グラムになった。軍需へ金属が回るなかで、手のなかの一銭が軽くなっていく感触だけが庶民に残された。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- 1ルピー(1947年・ベンガル虎)
- 素材と形
- ニッケル・円形
- 直径
- 直径 28mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 一九四七年の一ルピー。出典はニッケル、直径二十八ミリ、目方十一・八グラム、発行高一億五九九三万九千枚、表の彫刻はパーシー・メトカーフ、裏は P・W・M・ブリンドリーと記す。裏面にはベンガル虎がいて、額面は英語・ヒンディー語・ウルドゥー語の三言語で書かれている。年号の下の点はボンベイ造幣所の印である。ルピーという名の貨幣から、ついに銀が抜けた。シェール・シャーが定めてから四百年、この単位はいちど中身を失って続く。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- 一円アルミ貨
- 素材と形
- アルミ・円形
- 直径
- 直径 20mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 昭和三十年六月発行。純アルミニウム、直径二十ミリ、量目一グラム。図案は戦後に初めて一般から公募され、表の若木は中村雅美、裏の「1」は高島登二雄の作が選ばれた。二千五百点を超える応募のなかから、名を知られていない市民の描いた線が、そのまま国の貨幣の図柄になった。
→ 実物データベース
- 素材を色から言う(金・銀・銅・青銅・紙…)。
- 形を輪郭から言う(円・方形・塊・楕円)。
- 表の主題を、名で言う(顔・獣・文字・建物…)。解釈は書かない。
- 裏の作りを言う(打ち込みの痕・彫刻の型・鋳型の文字・写真が無い)。
- 銘を読む。読めなければ「読めない」と書く。
- 「無い」と気づいたものを一つ、問いの形で書く。
- 名
- 10ナヤ・パイサ(1959年)
- 素材と形
- ニッケル・波形の縁
- 直径
- 直径 23mm
- 量目
- 台帳に欄なし
- 台帳の記載
- 一九五九年の十ナヤ・パイサ。出典は白銅、花弁形、直径二十三ミリ、目方四・九グラム、一九五七年から一九六三年までの発行高九億九一八七万六千枚と記す。上部の銘はヒンディー語で रुपये का दसवाँ भाग——「ルピーの十分の一」。額面を数字ではなく分数の言葉で告げている。花弁形の縁は、暗がりでも指先で額面を見分けるための形である。この貨幣は二〇一一年六月三十日に通用を停止した。
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