製造技術
B09 — 横断テーマ

あなたの手の中の硬貨の、縁のギザギザ。
監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: 科目本文 約 8 分 + 教本 約 31 分 = 約 39 分 / 本文のほかに、演習 10 問・実物 4 点・読む教材 11 停・参考文献 2 件
この科目で、できるようになること
- 打刻と鋳造の違いを、できあがった一枚の見た目から言い当てられる。
- 機械打ちが解いた問題を、三つ挙げられる。
- 技術の変化が、不正への対策から来ていることを説明できる。
- 造幣所の数が多いことが、なぜ品質を下げるのかを言えるようになる。
- ハンマー打刻・ねじプレス・蒸気機械の三世代を、解決した問題つきで説明できる。
- 「真円と縁」が偽造・毀損対策として持つ意味を技術の側から言える。
教本 — TEXTBOOK
レッスン(8節)
- 打つか、流し込むか打刻と鋳造は優劣ではなく、求められたものの違い。大量の低額貨には鋳造が向く。
- 機械が解いた、三つの問題機械打ちは美のためでなく、確かめずに済ませるための技術。三つの改善はすべて不正対策に収束する。
- 造幣所が増えると、品質が落ちる発行者が増えると、監督の費用が利益を上回り、品質は必ず落ちる。
- 規格が長持ちすることの価値規格を保つことも技術。放っておけばずれるものを、ずらさずに保ち続ける技術。
- ハンマーの限界 — コブという率直な妥協形は歪んでも、重さと品位さえ合えば通用した。コブは「貨幣とは刻印された地金」という思想の実物。
- ねじと蒸気 — 機械が貨幣に与えたものねじプレスが精度を、蒸気が量を解決した。カートホイールの二オンスは、産業革命の重さ。
- 薄さの技術 — ブラクテアートの逆説厚みではなく薄さで見せる。片面打刻という独自技術が、他のどこにも似ない銀貨を生んだ。
- 真円の意味 — 形が信用になるとき真円・均一な縁・層構造。形の規格化は美観ではなく、信用を機械で量産する技術。
ケーススタディ — 教材で使う(11)
- 機械と革命 総論・世界2700年 後 17世紀 縁のギザギザ
第2節。縁のギザギザが何のためにあるか、いちばん短く書かれています - 柱のドル スペイン 1728・1730年 マドリード
第2節。コブから機械打ちへ移る布告の場面です - 王より多い造幣所 スペイン 1454年〜 カスティーリャの各地
第3節。造幣所が百五十あったという記述を、原文で確かめてください - メディナ・デル・カンポ スペイン 1497年〜 メディナ・デル・カンポ
第4節。百八十九年間変わらなかった規格の話です - ヌエバ・エスパーニャの銀 スペイン 16〜17世紀 新大陸の造幣所の作業場
第5節。「貨幣とは、刻印された地金である」。ハンマー時代の貨幣観の原文 - 蒸気の造幣 イギリス 1797年 ソーホー製作所
第6節。正確に二オンス。蒸気が貨幣に与えた精度と量 - ブラクテアート ドイツ 12〜13世紀 ザクセン・テューリンゲンの領邦
第7節。紙のように薄い銀の板。片面打刻の技術の記述 - 柱のドル スペイン 1767〜1773年 ポトシ造幣所
第8節。歪んだ銀が炉に戻る。手打ち時代の終わりの情景 - 植民市の銀 イタリア 前6世紀 シュバリスとメタポントゥム
表に浮き彫りにした図像を、裏には同じ形の凹みとして打つ技法です。二つの極印をずらさずに合わせる難しさと、なぜそう打ったのかが決まっていないことを、あわせて読んでください - 穴が四角くなるまで 中国 前4〜前3世紀 鋳造の作業場
銭の穴が円から四角へ変わったのは、思想ではなく削る手の都合でした。角棒を通せば何十枚もまとめて固定でき、円い穴では空回りする——工房の面倒が二千年続く形を決めた話です - 溶かして、打ち直す インド 17世紀 ムガルの造幣所
同じメキシコの八レアルを受け取った二つの国が、片方は検印を打って流し、片方は溶かして自国の貨幣に打ち直しました。打ち直す道を選べるのは造幣所と燃料と人手を割ける国だけだ、という条件まで書かれています
評価方法
科目内の演習 10 問(確認 7・比較 0・記述 3)。到達は自己評価で記録します。
参考文献
- A study on the manufacturing method of the ancient coins, Sangpyeong Tongbo in Korea — npj Heritage Science(2025) 常平通宝の鋳造技法の自然科学的分析(査読誌)
- The Royal Mint Story — The Royal Mint Museum 英国造幣局の沿革。ロンドン塔時代から現在までの製造の場と技術の変遷
実在を確認した文献・一次資料のみを載せています。