NOMISMA SCHOLA

計量貨幣学

E4 — 数えると、見えてくる

計量貨幣学 — 科目の口絵

コインを一枚だけ量っても意味がありません。けれど百枚量ると分布が現れます。山の頂上は造幣所が狙った規格、山の広がりは技術水準、山が二つあれば異なる規格の混在。数字の集まりが、造幣所の腕前と市場の不正を同時に語ってくれます。

監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 8 分(本文 3,795 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 13 問・実物 4 点・読む教材 11 停・参考文献 1 件

この科目で、できるようになること

  • 一枚の量目と品位から、実際に含まれる金属の量を計算できる。
  • 重さの分布を見て、規格が一つか二つかを判断できる。
  • 摩耗した貨幣と、はじめから軽い貨幣を、分布の形で区別できる。
  • 「およそ二十七・七グラム」と書かれた数字を、どこまで信じるか決められる。
  • シェケル・ポンド・マルク・ペソが、重さの単位から貨幣の名になった筋道を説明できる。
  • 「基準の重さから何枚」という規格の文法で、時代の違う規格を読み比べられる。

レッスン(8節)

  1. 掛け算ひとつで、比べられないものが比べられる量目 × 品位 = 純金属量。重さだけで比べると、必ず間違える。
  2. 百枚量ると、山の形が語りはじめる山の頂は造幣所、山の広がりは技術、左の裾は流通のあいだに起きたこと。
  3. 摩耗と削り取りは、分布の形が違う量目だけでは足りない。直径と組にすると、原因が分かれる。
  4. 「およそ二十七・七グラム」の「およそ」を読む数字を見たら、規格か実測かを分け、実測なら母数を聞く。
  5. 重さが、名になる — シェケルからペソまで主要な通貨の名の多くは、秤の上の単位から来ている。名前は貨幣以前の記憶を運ぶ。
  6. 規格の文法 — 「基準の重さから、何枚」規格は「基準の重さから何枚」という一つの文法で書かれる。枚数が変われば、一枚の中身が変わる。
  7. 比価 — 二つの金属の、危うい釣り合い金と銀を併用する体制は、比価を誤ると片方が消える。顔は王が決め、足は市場が決める。
  8. 大きな数の作法 — 大仏と賠償金巨大な数は、単位を現代に直し、幅を添え、物差しを並べて、幅ごと報告する。

読む教材(11)

  • 1792年鋳貨法 アメリカ 1792年 鋳貨法の条文
    法が重さを四分の一グレインまで刻んだ場面。なぜそこまで細かくしたのかを、紙幣の失敗と繋げて読んでください
  • 獅子の銀貨、世界へ オランダ 1575年〜 低地の港
    第1節の図の出どころ。量目と品位が書かれた記述を、原文で確かめてください
  • 起源以前 総論・世界2700年 紀元前 2000年 バビロニア
    貨幣が生まれる前、価値は重さそのものでした。計量が後から来た技術ではないことが分かります
  • 黄金と侵略 日本 1588年 京都
    量目四十四匁=およそ百六十五グラム。匁とグラムが併記されている例。単位の乗り換えを見てください
  • イギリス 総論・世界2700年 後 8世紀 オファ王のペニー
    第5節。銀一ポンドから二百四十枚——ポンドが重さだった時代の原文です
  • メディナ・デル・カンポ スペイン 1497年 カスティーリャの造幣所
    第6節。一マルコから六十七枚。規格の文法のいちばん美しい実例
  • イギリス 総論・世界2700年 後 1717年 ニュートンの偶然
    第7節。ニュートンの比率が金本位を偶然生んだ一段落
  • 大仏を鋳た銅 日本 747〜752年 大和 東大寺
    第8節。七十三万九千斤を五百トンに直すとき、教材がどう幅を書いたか
  • 三つの秤 ギリシャ 前6世紀 アテナイのアゴラ
    アイギナのドラクマは約六・一グラム、アテナイのドラクマは約四・三グラム。同じ名前でも都市ごとに目方が違い、両替の台が商売として成り立った理由がここにあります。
  • 五銖という基準 中国 前118年〜後8年 出土した銭を量る机
    出土した五銖銭を量ると、答えは一つになりません。書いてある値と、実際の重さと、市で通る値。三つのずれを追いかける作業が、実物の前で書かれています。
  • 一八九七年 ロシア 1897年 造幣局
    七ルーブル五十コペイカという半端な金貨は、旧平価の五ルーブル金貨と同じ重さです。額面の数字から切り下げを読み取る計算を、たどってみてください。

評価方法

科目内の演習 13 問(確認 7・比較 0・記述 6)。到達は自己評価で記録します。

参考文献

実在を確認した文献・一次資料のみを載せています。