コインはどう作られたか
金属を流す、たたく、機械で打つ。作り方の違いを実物の形から見ていきます。
本文を読む目安:約8分 / 本で詳しく読む目安:約32分
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3分でわかる コインの作り方
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- あなたならどうする?
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1絵で見る
横に送って見られます
1 / 9
西洋のコインは、金属の円板を型ではさんで叩いて作った
打刻。縁が不定形になりやすい
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東アジアの銭は、溶かした金属を型に流して作った
鋳造。同じ型から大量に、安く作れる
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新大陸
銀の棒を切り、ハンマーで印を打つだけ。形は1枚ごとに違った
重さと品位さえ合えば通用した
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形がばらばらだと、削られても分からない
品質は長い年月のうちに落ちていった
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1662年〜
ねじの力で打つ機械が、そろった縁を作った
削られたら、ひと目で分かる
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1797年
蒸気の機械が、ずしりと重い銅貨を大量に作った
二オンス
小銭の足りない町へ届けた
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造幣所が増えすぎると、見張りが届かず品質が落ちる
下げた所が儲かり、下げが連鎖する
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一マルコの銀から67枚。この決まりが189年変わらなかった
変えないことも技術。受け取る側が確かめずに済む
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2021年
真円、そろった縁、三つの層。形そのものが信用になる
斜めギザの流通貨幣は世界初
2数字で見る
189年
レアル銀貨の決まり(一マルコから67枚)が変わらなかった年月
約56.7グラム
1797年の二ペンス銅貨の重さ。正確に二オンス
3あなたならどうする?
西の「叩いて作るコイン」と、東の「流して作る銭」。どちらが進んだ技術だと思いますか?
選んでみてください
叩いて作るコイン
型の細かさが要る貨幣には、叩く方が向きます。でも、それで「進んでいる」とは言えません。
流して作る銭
同じ型から大量に、安く作れます。少額の銭をたくさん要する社会には、こちらが向いていました。
どちらとも言えない
優劣はありません。技術は、多くの場合、目的に合わせて選ばれています。違うのは、求められたものです。
優劣で読むと、東アジアの銭を不当に低く見ることになります。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 打刻と鋳造の違いを、できあがった一枚の見た目から言い当てられる。
- 機械打ちが解いた問題を、三つ挙げられる。
- 技術の変化が、不正への対策から来ていることを説明できる。
この講座の本
『コインはどう作られたか』
始めから終わりまで通して読む本。図版20点・読み終える目安 約32分
本を読む →
詳しい案内
講座の番号:B09
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習10問・コイン4点・読む教材11件・参考文献2件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 造幣所の数が多いことが、なぜ品質を下げるのかを言えるようになる。
- ハンマー打刻・ねじプレス・蒸気機械の三世代を、解決した問題つきで説明できる。
- 「真円と縁」が偽造・毀損対策として持つ意味を技術の側から言える。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
- 重さと純度からコインを読む
分かること:一枚の量目と品位から、実際に含まれる金属の量を計算できる。
本文の第2節で、この講座に触れています。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習10問(確認7・比較0・記述3)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 打つか、流し込むか打刻と鋳造は優劣ではなく、求められたものの違い。大量の低額貨には鋳造が向く。
- 機械が解いた、三つの問題機械打ちは美のためでなく、確かめずに済ませるための技術。三つの改善はすべて不正対策に収束する。
- 造幣所が増えると、品質が落ちる発行者が増えると、監督の費用が利益を上回り、品質は必ず落ちる。
- 規格が長持ちすることの価値規格を保つことも技術。放っておけばずれるものを、ずらさずに保ち続ける技術。
- ハンマーの限界 — コブという率直な妥協形は歪んでも、重さと品位さえ合えば通用した。コブは「貨幣とは刻印された地金」という思想の実物。
- ねじと蒸気 — 機械が貨幣に与えたものねじプレスが精度を、蒸気が量を解決した。カートホイールの二オンスは、産業革命の重さ。
- 薄さの技術 — ブラクテアートの逆説厚みではなく薄さで見せる。片面打刻という独自技術が、他のどこにも似ない銀貨を生んだ。
- 真円の意味 — 形が信用になるとき真円・均一な縁・層構造。形の規格化は美観ではなく、信用を機械で量産する技術。
この講座で読む実例(11)
- 機械と革命 総論・世界 後17世紀 縁のギザギザ
第2節。縁のギザギザが何のためにあるか、いちばん短く書かれています - マドリード スペイン 柱のドル 1728・1730年
第2節。コブから機械打ちへ移る布告の場面です - 王より多い造幣所 スペイン 1454年〜 カスティーリャの各地
第3節。造幣所が百五十あったという記述を、原文で確かめてください - メディナ・デル・カンポ スペイン 1497年〜 メディナ・デル・カンポ
第4節。百八十九年間変わらなかった規格の話です - ヌエバ・エスパーニャの銀 スペイン 16〜17世紀 新大陸の造幣所の作業場
第5節。「貨幣とは、刻印された地金である」。ハンマー時代の貨幣観の原文 - 蒸気の造幣 イギリス 1797年 ソーホー製作所
第6節。正確に二オンス。蒸気が貨幣に与えた精度と量 - ブラクテアート ドイツ 12〜13世紀 ザクセン・テューリンゲンの領邦
第7節。紙のように薄い銀の板。片面打刻の技術の記述 - ポトシ造幣所 スペイン 柱のドル 1767〜1773年
第8節。歪んだ銀が炉に戻る。手打ち時代の終わりの情景 - 植民市の銀 イタリア 前6世紀 シュバリスとメタポントゥム
表に浮き彫りにした図像を、裏には同じ形の凹みとして打つ技法です。二つの極印をずらさずに合わせる難しさと、なぜそう打ったのかが決まっていないことを、あわせて読んでください - 穴が四角くなるまで 中国 前4〜前3世紀 鋳造の作業場
銭の穴が円から四角へ変わったのは、思想ではなく削る手の都合でした。角棒を通せば何十枚もまとめて固定でき、円い穴では空回りする——工房の面倒が二千年続く形を決めた話です - 溶かして、打ち直す インド 17世紀 ムガルの造幣所
同じメキシコの八レアルを受け取った二つの国が、片方は検印を打って流し、片方は溶かして自国の貨幣に打ち直しました。打ち直す道を選べるのは造幣所と燃料と人手を割ける国だけだ、という条件まで書かれています
参考文献
この講座の本文で参照した本と資料です。