NOMISMA

王や国はコインで何を伝えたか

王の顔や国の紋章を見比べ、貨幣が政治の主張を運んだ場面を読みます。

本文を読む目安:約7分
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読める範囲:講座の入口と目次は無料・本文は購入された方向け
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3分でわかる コインが運んだメッセージ

  1. 絵で見る
  2. 数字で見る
  3. あなたならどうする?
  4. くわしく読む

1絵で見る

横に送って見られます

1 / 9

政権が替わると、まず貨幣の顔が替わる

顔を替えるのは簡単。仕組みを替えるのは桁違いに大変

2 / 9

フランス

皇帝の横顔が王の横顔に。でも金の重さは1803年のまま

顔が替わったら、中身を確かめる

3 / 9

1869年

王を追い出したスペインは、国土を女性の姿で刻んだ

図柄は1700年前のローマの貨幣に倣った

4 / 9

イングランドの銀貨は、国内より北の海の向こうで多く見つかる

平和を買うために差し出した銀だった

5 / 9

ローマ帝国

新聞もテレビもない時代、貨幣が皇帝の顔を全土に届けた

毎日の取引のたび、手ざわりごと届く

6 / 9

前405年前後

シラクサの名人が、泉のニンフの顔を美しく刻んだ

美しさは、都市の力を内外に示す道具

7 / 9

前44年

カエサルは生きた自分の顔を刻ませ、3月15日に討たれた

神々と死者だけに許された場所だった

8 / 9

討った側も、自分の顔と2本の短剣を刻んで宣言した

敵も味方も、貨幣という言葉で語った

9 / 9

現代

今の力は顔ではなく、お金の支払いの網に宿る

網から締め出されると、船は動いても代金が動かない

2数字で見る

1700年

王のいないスペインが貨幣に引用した、ローマの図柄の古さ

2400年

シラクサの美しい銀貨が生き延びた年月。打った都市より長生きした

3あなたならどうする?

新しい王が立ち、金貨の顔が替わりました。隣の人は「お金の仕組みが変わった!」と言います。あなたは何を確かめますか?

選んでみてください

誰の顔が刻まれたか

顔は見れば分かります。でも顔が替わっても、中身が同じなら、それは政治の話です。お金の仕組みの話ではありません。

重さと金の割合が替わったか

それが確かめどころです。20フランの金貨は顔が替わっただけで、金の重さは1803年のままでした。

4くわしく読む

本文をくわしく読む ↓

再現画王や国はコインで何を伝えたか — 講座の口絵

この講座で、分かるようになること

  • 図像の変更と、制度の変更を切り分けて読めるようになる。
  • 王のいない国が、貨幣に何を載せたかを説明できる。
  • 図像が「誰に向けて」出されたかを、流通範囲から推せる。
詳しい案内

講座の番号:B05

監修: 葉山 満

本文のほかに、演習11問・コイン6点・読む教材10件・参考文献2件 所要時間の出し方

ほかに分かること

  • 基軸通貨の図像が持つ、力としての側面を説明できる。
  • 貨幣を「帝国唯一の顔のメディア」として説明できる。
  • 図像の権力が、現代では決済網の支配に姿を変えたことを論じられる。

この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。

あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)

  • コインの絵と文字を読み解く
    分かること:一枚の表裏を見て、どの部位に何があるかを指せるようになる。
    本文の第2・7節で、この講座に触れています。

出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)

評価方法

講座内の演習11問(確認7・比較1・記述3)。到達は自己評価で記録します。

この講座の8つの章
  1. 顔が替わって、中身が替わらないとき図像は変えやすく、制度は変えにくい。顔が替わったら、必ず中身を確かめる。
  2. 王のいない国は、何を載せたか王のいない国は古代を引用する。新しい権威が足りない分を、古い名前で埋める。
  3. 誰に向けて出されたか — 流通範囲が答える意図は文書に、現実は土の中に残る。出土は流通量そのものではないが、意図とは別の証拠になる。
  4. 図像は、力そのものになることがある図像は象徴から力へ育つことがある。ただし育ちきったあとは、もう貨幣学の範囲を超える。
  5. 帝国のメディア — 顔が届く速さ新聞もテレビもない世界で、貨幣だけが権力者の顔を全土に届けた。図像は統治の道具。
  6. 美という権力 — シラクサの巨匠たち美は誇示の道具であり、都市の広告だった。巨匠の署名入りの貨幣は、力の宣言でもある。
  7. 暗殺の記念貨 — EID MAR禁忌破りの顔に、暗殺者は貨幣で応えた。貨幣は政治声明の最も鋭い形になりうる。
  8. 顔のない権力 — 決済網という現代の図像現代の基軸通貨の力は図像でなく決済網に宿る。矢の届かない場所を撃つ、最も遠い矢。
読む教材(10)
  • 銀行家の王と信用の時代 フランス 1815〜1825年 パリの公債登記所
    第1節。顔が替わって金の重さが替わらなかった記述を、原文で確かめてください
  • 1868年10月19日 スペイン 1869〜1870年 マドリード、造幣所
    第2節。王の顔の代わりに国土の擬人像が載る場面です
  • デーンゲルド イギリス 10世紀末〜11世紀 スカンディナヴィア
    第3節。国内よりスウェーデンで多く出土する話です
  • 基軸の重み アメリカ 現代 ドル決済網
    第4節。広く使われることが力になる、その最も鋭い形です
  • ローマ帝政 総論・世界 後1世紀 皇帝の顔が届く場所
    第5節。「帝国でただ一つの、顔のメディア」。この講座の核心の一段落
  • シラクサ 総論・世界 紀元前405–400年頃 エウアイネトス
    第6節。西洋美術史に残る横顔。美が権力の言葉だった時代
  • ローマ共和政 総論・世界 紀元前43–42年 ブルートゥスの陣営
    第7節。史上もっとも挑発的な一枚。全文が短いので、一語ずつ読んでください
  • 神の顔から、王の顔へ ギリシャ 前300年前後 アレクサンドリアの王宮
    神でも英雄でもなく、生きている統治者が自分の顔を貨幣に載せた最初の例とされる一枚です。開始の年に二つの説があることも、そのまま書かれています。
  • 帝の銀 トルコ 1844年〜 彫金師の作業台
    面にあるのは帝の横顔ではなく、スルタンの名を書に組み上げた花押です。ヨーロッパが君主の横顔を並べていた時代に、文字そのものを顔にした国があったことを確かめてください。
  • 貨面が言い続けたこと ロシア 20世紀 モスクワ
    何が描かれているかではなく、何が描かれていないかを見る回です。個人の肖像を主な意匠にしなかった国の硬貨に何が並んでいたかを数え、語りたいことと起きていることは別だ、という締めまで読んでください。
参考文献
  • Online Coins of the Roman Empire (OCRE) — American Numismatic Society / Institute for the Study of the Ancient World, NYU ローマ帝国貨の型録データベース。アウグストゥス(前31年)からゼノン(後491年)まで43,000型以上、約20の欧米データベースを通じて実物10万点以上に接続する
  • Coinage of the Roman Republic Online (CRRO) — American Numismatic Society / British Museum / Münzkabinett Berlin Michael Crawford『Roman Republican Coinage』(1974) のオンライン版。共和政ローマ貨の同定に用いる基準типология。新出の埋蔵品により年代は改訂されている

この講座の本文で参照した本と資料です。

次に読む

コインに刻まれた女王たち →

次に分かること:女性君主の肖像が、男性君主と違う扱いを受けた点を説明できる。

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講座の本文と図解の本、国ごとの物語をすべて読めて、貨幣学検定も受けられます。

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