コインの絵と文字を読み解く
肖像、動物、紋章、文字を見比べ、発行者が何を伝えようとしたのかを考えます。
本文を読む目安:約8分 / 本で詳しく読む目安:約47分
確認問題は任意です(この時間に含みません)
読める範囲:講座の入口と目次は無料・本文は購入された方向け
購入後は、使えるようになった時点から本文を読めます
3分でわかる コインの絵の読み方
- 絵で見る
- 数字で見る
- あなたならどうする?
- くわしく読む
1絵で見る
横に送って見られます
1 / 9
表と裏は二つで一つ。表が「誰が」、裏が「何によって」
何も無い余白も、選んだ跡
2 / 9
最初のお金に、人の顔はない。獣か、無地か、神
絵は飾りではなく、保証する者の署名
3 / 9
大王の顔は、神の角を生やした姿で刻まれた
人を神にしてから載せた。一段の遠慮
4 / 9
696年
カリフの金貨は顔をやめ、文字だけにした
できたのに、やめた。「神に、かたちはない」
5 / 9
顔の無いお金には、三つの別々の理由がある
神にかたちはない・載せる王がいない・文字が像の役
6 / 9
1514年
フランスの銀貨に、王の本当の横顔が載った
始めたのはルイ12世。よく言われる別の王ではない
7 / 9
1340年
海戦の勝利を、金貨に刻んで配った
お金は、国中の手のひらに届く小さなお知らせ
8 / 9
敵の文字を借りる。写す → 名乗る → 取り込む
借り方の深さは、相手をどれだけ分かっていたかの目盛り
9 / 9
2024年
紙幣の顔は偽造よけ。わずかな狂いも目に留まる
新しい紙幣では、顔が立体に浮かぶ
2数字で見る
3つの系統
顔の無いお金。イスラーム・王のいない共和国・漢字の国
696年
人の顔も王の姿もない、文字だけの金貨が打たれた年
3あなたならどうする?
ある金貨には、人の顔も王の姿もなく、文字だけが並んでいます。なぜでしょう?
選んでみてください
顔を彫る技術がなかった
実は、同じ工房はその直前まで、顔の入った金貨を打っていました。できたのに、やめたのです。
あえて顔を描かなかった
教材はこう書きます。「神に、かたちはない。ならば貨幣にも、像はいらない」。描かないこと自体が、主張でした。
描かれなかったものは、描かれたものより強く語ることがあります。ただし「無い」を見つけたら、決めつけずに問いにします。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 一枚の表裏を見て、どの部位に何があるかを指せるようになる。
- 肖像が「生きている人」か「死んだ人」かで、意味がどう変わるかを説明できる。
- 描かれなかったものを問いに変えられる。
この講座の本
『コインの絵と文字を読み解く』
始めから終わりまで通して読む本。図版41点・読み終える目安 約47分
無料で試し読みできる範囲: 「保証人は、はじめ神だった」
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詳しい案内
講座の番号:E5
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習8問・コイン4点・読む教材11件・参考文献3件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 図像の変化から、権力の所在が動いた時期を読み取れるようになる。
- 生きた支配者の顔が、いつ・どこで貨幣に載り、何を意味したかを説明できる。
- 貨幣の図像を、意匠としてだけでなく、時の政権の布告として読める。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習8問(確認7・比較1・記述0)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- まず、指を差せるようになる表と裏は対。余白は空白ではなく、選択の跡。
- 顔が載るまで — 神から人へ図像は装飾ではなく、保証人の署名。誰が載っているかは、誰が保証しているかを指す。
- 描かれなかったものを、問いにする「無い」は強い証拠になるが、「無い」の理由は一つではない。断定せず問いにする。
- 顔を捨てた国が、もう一つある顔の無い貨幣には、少なくとも三つの別々の理由がある。同じ形を同じ原因で説明しない。
- 生きた支配者の顔 — ペルシアの総督からテストンへ生きた支配者の顔が刻まれるとき、そこには王権の宣言があった。誰が最初かは、地域と史料で変わる。
- 小さな布告 — 貨幣は宣伝する貨幣は、国中の手のひらに届く最小の布告。政権は図像と銘で語り、争った。
- 敵の文字で語る — 借用の三段他者の文字は、形だけ写され、やがて意味を持って使われ、最後は自らの物語に取り込まれる。
- 彫る手の系譜 — 工人から彫刻家へ図像には必ず彫った手がある。無名の工人から名のある彫刻家へ、手の歴史も貨幣史の一部。
この講座で読む実例(11)
- ヘレニズム 総論・世界 紀元前297–281年 アモンの角
神格化された王が貨幣に載る場面。角という一段の遠慮に注目してください - ビザンティン 総論・世界 後696–697年 ダマスカス
第3節の出どころ。顔を消すという選択が、どう説明されているか原文で - 神と貨幣 総論・世界 通史 神々の顔から国家の顔へ
神 → 王 → 国家 → そして「イン・ゴッド・ウィ・トラスト」への一巡り - エピローグ 総論・世界 旅の終わり 約束の旅
すり減った一枚に何が残るか。図像が消えたあとにも残るものの話です - ヴァロワの金貨 フランス 1514〜1547年 王国の造幣所
第5節。「フランソワ一世が最初」という通説を教材が正す一段落。始めたのはルイ十二世です - 簒奪者の造幣所 イギリス 296年 奪回されたロンディニウム
第6節。簒奪者も正統も、貨幣で語り貨幣で争った——プロパガンダとしての貨幣の原点 - 敵の名を継いだ貨幣 スペイン 1174年〜 トレドの造幣所
第7節。「カトリックの者たちのアミール」。敵の言葉で信仰を語る金貨の銘を、原文で - 円の誕生 日本 1881年 紙幣寮 彫刻室
第8節。五百近い原版を彫った手と、西洋風になった神功皇后の顔 - 貨面が言い続けたこと ロシア 20世紀 モスクワ
国章も穀物も工場も地球儀もあるのに、個人の肖像が硬貨の主な意匠になりませんでした。描かれていないもののほうを見る、この講座の副題そのものの一段です。 - 貨面の鷲 オーストリア 1945年 ウィーン
1945年に戻ってきた鷲は、両の脚に断ち切られた鎖を結んでいます。紋章が誇りだけでなく、不在の記憶まで刻むことの実例です。 - 母と息子 韓国 2009年 世論の中
誰の顔を載せるかは、発行の後まで議論が続きます。五万ウォン券に初めて女性の肖像が入ったとき、色や描き方に何が言われたのかを読んでください。
参考文献
この講座の本文で参照した本と資料です。