NOMISMA SCHOLA

統一する者

C02 — 人物の鎖

統一する者 — 科目の口絵

アレクサンドロス、始皇帝、カール大帝、明治。

監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 8 分(本文 3,985 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 11 問・実物 2 点・読む教材 11 停・参考文献 1 件

この科目で、できるようになること

  • 統一者がまず貨幣に手をつける理由を説明できる。
  • 統一した貨幣が、その人の死後どうなるかを説明できる。
  • 手本を外から借りた統一の例を挙げられる。
  • 統一の記録を読むとき、何を揃えて何を残したかを確かめられるようになる。
  • カール五世からユーロまで、統一者の系譜を四つの型で延長できる。
  • 「統一の主体が人物から制度へ移った」変化を実例で論じられる。

レッスン(8節)

  1. 統一者は、まず貨幣に手をつける統一者が貨幣に手をつける理由は三つ。実利があるのは規格、速いのは顔。区別して読む。
  2. 統一した貨幣は、その人の死後に試される統一より維持のほうが難しい。統一の宣言は記録に残るが、維持の日々は残らない。
  3. 手本を、外から借りる統一の手本は外から借りられる。一国の貨幣史は、その国だけを読んでも分からない。
  4. 統一した通貨は、外へ出ていく統一した通貨は外へ出る。統一する者は、いずれ他国にとっての外圧になる。両側を読む。
  5. 生まれながらの統一者 — カール五世ヘントに生まれた皇帝の顔と名が、十七州に共通の計算の土台を敷いた。
  6. 帳簿の統一者たち — 名前のない設計者ドイツを統一した貨幣に、一人の英雄の顔はない。関税同盟と条約と法が統一者だった。
  7. 円を作った者たち — 明治の統一新貨条例・外注された紙幣・国産化。円の統一は人物と制度の合作だった。
  8. 顔のない統一者 — ユーロという終端最後の平価は意思ではなく計算だった。鎖の終端で、統一者は制度そのものになる。

読む教材(11)

  • 皇帝の銀貨、海の民 オランダ 793〜794年 ドレスタット、カロリング朝の造幣所
    第1節。カール大帝の体系と、その但し書きを原文で確かめてください
  • 封建とヴァイキングの銭 フランス 9〜10世紀 西フランク王国
    第2節。統一した貨幣が分散していく過程です
  • メキシコ 総論・世界2700年 後 1860年代 円の名付け親
    第3節。円という名前の出どころ。メキシコ編に書かれています
  • 日清・日露の戦費 日本 1899〜1911年 台北 釜山
    第4節。統一した通貨が海を越える場面。「正貨の備えを持たずに」に注目
  • ヘント生まれの皇帝 オランダ 1500〜1519年 ヘント
    第5節。生まれながらの統一者の出発点
  • 関税同盟 ドイツ 1834〜1838年 ドイツの商家の帳場
    第6節。人物なき統一の名文。夜の帳場の情景
  • 円の誕生 日本 1872年 フランクフルト
    第7節。日本を見たことのない彫刻師が彫った日本の紙幣
  • 強いフラン フランス 1995〜1999年 フランス銀行の一室
    第8節。「最後の平価だけが、意思ではなく、計算でした」
  • 世界貨幣 ギリシャ 前336〜前323年 帝国の両替台
    エーゲ海からバビロンまで、両替台の秤が同じ目盛りを指すようになった場面です。テトラドラクマ一七・二グラムというアッティカ標準へ帝国を揃えたこと、そして父フィリッポスの銀貨の標準を捨てたのが意図的な転換だと書かれていることを見てください。
  • 天円地方 中国 前221年 秦の都、咸陽の官府
    文字を揃え、車の軸の幅を揃え、升と秤を揃えた、その並びの最後に貨幣が置かれています。刀も布も蟻鼻銭もこの年に役目を終え、円い外形に四角い穴という形が以後二千年動かなくなる——一つの決定が届く長さを見てください。
  • 開港 韓国 1876年〜 仁川の波止場
    揃えられた通貨が海を渡って着いた側の岸から書かれた記録です。葉銭なら銭の束が荷車一台分になる商いが円の銀貨なら袋一つで済むという、重さの差がそのまま使い勝手の差になる場面を見てください。

評価方法

科目内の演習 11 問(確認 7・比較 1・記述 3)。到達は自己評価で記録します。

参考文献

実在を確認した文献・一次資料のみを載せています。