素材
B02 — 横断テーマ

貨幣は、何でできているか。 金、銀、銅、紙、そして——数字。
監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: 科目本文 約 8 分 + 教本 約 336 分 = 約 344 分 / 本文のほかに、演習 10 問・実物 6 点・読む教材 11 停
この科目で、できるようになること
- 貨幣の素材が満たすべき条件を、四つ挙げられる。
- 金属から紙へ移るとき、何が失われて何が得られたかを説明できる。
- 「土地に紐づいた証券」が紙幣になっていく過程をたどれる。
- 素材の供給が制度を左右した例を挙げられるようになる。
- 素材の重さの振れ幅(数百グラムから一グラムまで)を実例つきで説明できる。
- 戦時の材質低下を、国力の指標として読める。
教本 — TEXTBOOK
レッスン(8節)
- 素材に求められる、四つの条件素材の四条件のうち「足りている」がいちばん難しい。足りすぎても足りなくても駄目。
- 大地の幸運が、制度を支えていた制度は素材の供給の上に乗る。金本位が続いたのは、たまたま金が見つかり続けたから。
- 裏づけがあっても、紙は死ぬ裏づけがあっても、換えられる速さが足りなければ紙は死ぬ。
- 素材が消えて、数字だけが残った素材は金属→紙→数字と薄くなった。薄くなった分、約束そのものが露わになった。
- 三百グラムと一グラム — 重さの振れ幅同じ「貨幣」の名で、重さは三百倍違う。重さの選択には、その社会の答えが写っている。
- 戦争が素材を奪う — 指先で分かる国力銀→白銅→アルミ→錫と亜鉛。材質の転落は戦況の年表であり、人々は指先でそれを知った。
- 電子という素材 — 手ざわりの消える日金属→紙→画面の数字。素材が消えるほど、残るのは信用だけになる。第4節の現在進行形。
- 機能で選ぶ — 現代の素材の思想現代の素材は価値でなく機能で選ばれる。三層の五百円玉は、四百年の技の現在形。
ケーススタディ — 教材で使う(11)
- 借金が革命を呼ぶ フランス 1789〜1790年 パリ 印刷所
第3節。アッシニアが債券として生まれた場面。紙幣として生まれたのではありません - 刷りすぎた紙 フランス 1795〜1803年 パリ 両替商の窓口
第3節。二度死んだ紙のあと、金属へ帰る決断です - 世界の銀行 イギリス 1848〜1886年 カリフォルニアから南アフリカへ
第2節。金本位の前提が「大地の幸運」に支えられていたという記述です - エピローグ 総論・世界2700年 旅の終わり 二千七百年の約束
第4節。すり減った一枚に残るもの。素材が薄くなった先に何があるか - ローマ共和政 総論・世界2700年 紀元前 300年 初期ローマ
第5節。一枚三百グラムの青銅。素材の価値がそのまま貨幣だった時代の物証 - 金解禁から戦争へ 日本 1938〜1944年 日本各地
第6節。「手が先に分かりました」。指先で読む国力の名文です - 中国 総論・世界2700年 現在 紙幣を最初に手放す国へ
第7節。紙幣を発明した国が最初に紙幣を手放す——交子から千年の現在地 - 復興から手のひらへ 日本 2021年 造幣局
第8節。三層の断面に畳み込まれた四百年。現代の素材思想の到達点 - 壊れる貨幣 ギリシャ 前406/5年 造幣所の裏手
青銅の芯に薄い銀の皮を被せた非常貨です。中身の銀を請け合うはずの都市の刻印が、銀でないものの上に押されるとどうなるかを見てください。 - 貝という記憶 中国 前11〜前8世紀 黄河流域の鋳造の場
南の海の貝が届かない土地で、青銅が貝の形を写しました。中身が入れ替わっても形だけが残り、そこから先は形のほうが信用を運ぶ——その逆転が起きた場所です。 - 共和国とエスクード(2) ポルトガル 1925年 リスボンの検査台
同じ会社が同じ版で刷った紙幣は、偽札なのか。物としては本物で権限としては偽物、という一件が、この科目の問いにそのまま答えています。
評価方法
科目内の演習 10 問(確認 7・比較 0・記述 3)。到達は自己評価で記録します。