国境を越えて使われたお金
フクロウ銀貨、8レアル、ドル。外国でも受け取られたお金の条件を比べます。
本文を読む目安:約8分
確認問題は任意です(この時間に含みません)
読める範囲:講座の入口と目次は無料・本文は購入された方向け
購入後は、使えるようになった時点から本文を読めます
3分でわかる 国境を越えたお金
- 絵で見る
- 数字で見る
- あなたならどうする?
- くわしく読む
1絵で見る
横に送って見られます
1 / 9
国を越えて使われるお金の条件は三つ。量、安定、次に渡せること
受け取るたびに確かめなくて済むことが大事
2 / 9
みんなが使っているから、さらに使われる。だから替わりにくい
交代は、長い併存のあとに短い期間で決まることがある
3 / 9
前5世紀 アテナイ
フクロウ銀貨は、古代でいちばん多くまねされた
銀は近くの鉱山から来た
4 / 9
唐
唐の開元通宝を手本に、日本も朝鮮もベトナムもお金を作った
広がったのは、お金そのものより設計図
5 / 9
ヴァイキング
遠くから来た銀貨を溶かし、切って、秤で量って使った
見たのは刻まれた顔ではなく、銀の重さ
6 / 9
スペインの8レアル銀貨は、敵の国の植民地でも日々使われた
「ドル」という名も、この銀貨の流れから生まれた
7 / 9
1944年7月
戦争のさなかに各国が集まり、戦後はドル中心と決めた
金一オンス=35ドル
ドルだけが金に結ばれた
8 / 9
2008年
危機の元はアメリカなのに、世界中でドルが足りなくなった
ドルで回る世界は、ドルが詰まると息ができない
9 / 9
2008年
アメリカの中央銀行が、各国の中央銀行にドルを回した
事実上、世界の最後の貸し手になった
2数字で見る
44か国
1944年7月、戦後のお金の仕組みを決めに集まった国の数
3分の1
一時、日本から出たとも言われる世界の銀の割合
3あなたならどうする?
あなたは昔の日本の役人です。自分の国で銭を鋳るか、海を渡ってきた宋の銭をそのまま使うか。どうしますか?
選んでみてください
自分の国で銭を鋳る
量と品質を安定して出せる国なら、対抗するお金を作る道もありました。日本は別の道を選び、渡来銭が数百年使われます。
宋の銭をそのまま使う
日本が選んだ道です。鋳る費用がかからず、品質も安定していました。ただ量は自分で決められず、宋が輸出を絞れば困りました。
これは負けではなく取引です。自分で決める力と引き換えに、費用と品質を得ました。今日の通貨同盟でも同じ取引があります。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 国際通貨になる条件を三つ挙げられる。
- ある貨幣が現地名で呼ばれるようになる意味を説明できる。
- 基軸通貨を持つ国が負う不便を言える。
詳しい案内
講座の番号:B13
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習11問・コイン6点・読む教材11件・参考文献1件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 外から入ってきた貨幣が、その国の制度をどう変えるかを追えるようになる。
- 前近代の国際通貨(フクロウ・開元通宝・ディルハム・八レアル)を、広がり方の型つきで説明できる。
- ブレトンウッズの二案と、ドル基軸の「危機で強くなる」構造を論じられる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
- 銀行と信用の歴史
分かること:「信用がある」を、具体的な取引の動作として言い換えられる。
本文の第1・8節で、この講座に触れています。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習11問(確認7・比較1・記述3)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 国際通貨になる条件は、三つ国際通貨の条件は 量・安定・次に渡せること。三つ目のせいで、交代は一気に起きる。
- 現地名で呼ばれたら、それは根づいた印現地名で呼ばれたら根づいた印。ただし根づいた理由が「良い貨幣だったから」とは限らない。
- 基軸を持つ国は、不便も引き受ける基軸は特権であり負担。自国の都合で動かせず、世界に供給するほど自国の収支が崩れる。
- 外から来た貨幣が、制度を作り替える外から来た貨幣を受け入れるのは敗北ではなく取引。主権と引き換えに、費用と品質を得る。
- 国境を越えた貨幣たち — フクロウ・開元・ディルハム銀山が支えたフクロウ、手本になった開元、重さに還ったディルハム。広がり方は三様。
- 八レアルの海 — 最初の世界貨幣と呼ぶ本もあるポトシと石見の銀が世界を回った。英植民地の日々のカネさえ、スペインの銀だった。
- 山のホテルの設計図 — ブレトンウッズ国籍のないカネ対ドル。会議の力学は債権国が制した。力の移動が制度の形になった瞬間。
- 危機のたびに強くなる — 基軸の逆説震源がアメリカの危機でも、世界はドルを求めた。基軸の交代は、代役の不在が延期させる。
読む教材(11)
- 銭を捨てた国 日本 11世紀末〜1179年 博多の湊
第4節。「銭の病」という言葉が使われた記事です。外国の貨幣が国を覆う感触を - 獅子の銀貨、世界へ オランダ 17世紀 東地中海、レヴァントの港
第2節。現地名で呼ばれるようになる場面です - イギリス 総論・世界 後19世紀 世界の基軸ポンド
第3節。ポンドが世界の物差しになった時期の記述です - 銀の騎士 オランダ 1659年 連邦の造幣所
銀の騎士。国際決済のために作られた貨幣の、生まれた目的に注目してください - ビザンティン 総論・世界 後9–10世紀 北の交易路
第5節。国境を越えた瞬間に地金へ降格する——国際通貨の条件の裏側 - スペインドルの国 アメリカ 17〜18世紀 ポトシ、銀の山
第6節。英植民地の日常がスペインの銀で回っていた光景 - ブレトンウッズ アメリカ 1944年7月 ブレトンウッズ、米国代表の席
第7節。力の移動が制度の形になった瞬間の記録 - 基軸の重み アメリカ 2008年 危機の夜の金融街
第8節。震源の通貨が求められた逆説。世界の最後の貸し手の誕生 - 外国の銀貨が基準になる 中国 18〜19世紀 外国銀貨で決済する卓
世界の銀を最も多く集めた国が、外国の作った銀貨を基準に取引していました。鋳造とは重さと品位を国が請け合うことだ、という一行から、外の貨幣が席を取る条件を読んでください。 - 法が生んだ金 ギリシャ 中世 交易路の果て
1951年の論文で「中世のドル」と呼ばれた金貨です。通用圏を文献ではなく出土の場所の連なりで描く、その測り方を見てください。 - 対抗者たち メキシコ 1871〜1895年 ボンベイ/香港
ポンドを持つ国までが、アジアの港のために専用の貿易銀を仕立てた1895年の記録です。基準を握る者に挑む側が、なぜ相手と同じ銀の重さで戦うことになるのかを読んでください。
参考文献
この講座の本文で参照した本と資料です。