一つになる通貨、分かれる通貨
同盟、統一、独立。複数の国が同じお金を使うときの利点と難しさを学びます。
本文を読む目安:約8分
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3分でわかる 一つになる通貨
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- あなたならどうする?
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1絵で見る
横に送って見られます
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同じお金にすると、自分の国で決められることが減る
為替・金利・刷る量の三つを手放す
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金利は一つ。好景気の国には低すぎ、不景気の国には高すぎる
失敗ではなく、一つにするということそのもの
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1433年 低地
四つの地方が、共通の銀貨を本格的に使いはじめた
1339年の約束は破れたが、前例は残った
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1990年7月1日
東西ドイツのお金を、1対一で交換した
経済の計算ではなく、政治の決断
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1990年
東の人の貯金は守られた。東の工場には重い荷になった
奇跡と代価は、同じ決断の裏表
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1992年
固定の為替が「守りきれない」と見られ、ポンドが崩れた
暗黒の水曜日。のちに白い水曜日と呼ぶ人もいる
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1999年
一ユーロの値をフランで永久に固定。もう動かさないので丸めない
6.55957フラン
小数第5位まで
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2002年
フランもグルデンも、法のうえのお金ではなくなった
仕組みが先に終わり、使う習慣があとから消える
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いま
ドイツのマルク札は、いまも期限なしでユーロに替えられる
仕組みは終わっても、約束は生きている
2数字で見る
6.55957フラン
一ユーロと永久に固定されたフランの値(1999年)
30年
グルデンの古い札をユーロに替える約束が続く長さ
3あなたならどうする?
引き出しの奥から、古いドイツのマルク札が見つかりました。マルクはもう法のうえのお金ではありません。どうしますか?
選んでみてください
紙くずだと思って捨てる
もったいないことです。ドイツのマルクは今も、ドイツの中央銀行で期限なしにユーロへ交換できます。
銀行に持っていく
今日でも、決められた比率でユーロに替えられます。法のうえで終わっても、交換の約束は生きているのです。
通貨の「死」には、法のお金でなくなる日・交換の期限・名前が消える日と、少なくとも三つの日付があります。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 通貨を統合するときに各国が手放すものを、具体的に言える。
- 交換比が政治で決まった例を挙げ、その帰結を説明できる。
- 固定された為替が嵐に襲われる仕組みを説明できる。
詳しい案内
講座の番号:B14
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習11問・コイン3点・読む教材11件・参考文献1件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 統合の記録を読むとき、経済の計算と政治の決断を区別できるようになる。
- 低地の貨幣統合(1339年協定・フィエルランデル)を「前例の蓄積」として説明できる。
- 東西ドイツの一対一交換を、光と影の両面から論じられる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
- 国の統一とお金
分かること:規格の統一と、発行主体の統一を、別のこととして扱えるようになる。
本文の第5節で、この講座に触れています。 - 国境を越えて使われたお金
分かること:国際通貨になる条件を三つ挙げられる。
本文の第8節で、この講座に触れています。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習11問(確認7・比較1・記述3)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 統合で手放すもの通貨統合で手放すのは為替・金利・発行量。残るのは財政だけ。
- 交換比は、政治で決まることがある交換比は政治で決まることがある。経済の計算と政治の決断を混同しない。
- 固定した為替は、嵐に狙われる固定為替は「守りきれない」と思われた瞬間に守れなくなる。統合は問題を消さず、移す。
- 通貨が消えるとき、何が残るか通貨は制度上の死と、慣習からの消滅がずれる。記録では二つを分けて読む。
- 破れた約束、残った前例 — 低地の七百年統一を試みては失敗する。その反復が、のちの大統合の下ごしらえになる。
- 一対一の政治 — 東の貯えと西の帳簿交換比は経済計算ではなく政治の宣言だった。奇跡と代価は同じ決断の裏表。
- 嵐の水曜日 — 固定の網が破れた日別々の通貨を結ぶだけの仕組みは、嵐のたびに軋む。敗北の日は、解放の日と呼び直されもした。
- 消えた通貨の戸籍調べ — 死の定義法貨の終了・交換期限・約束の履行。通貨の「死」には少なくとも三つの日付がある。
読む教材(11)
- 戦争とお金 総論・世界 後2002年 戦争を防ぐ通貨
第2節の前提。戦争を防ぐ通貨という祈りが、いちばん端的に書かれています - ブンデスバンクの会議室 ドイツ 再統一 1990年
第2節。通貨の番人自身が慎重論を上げた場面です - マルクからユーロへ ドイツ 1992年 欧州の為替市場
第3節。固定為替が嵐に襲われる場面。同じ嵐が島国では別の名で呼ばれます - フランの黄昏 フランス 1999〜2002年 フランスの両替所
第4節。6.55957という数字の細かさに注目してください - 分立の世紀 オランダ 1339年12月 フランドルとブラバント、評議の間
第5節。「約束は破れました。けれど、前例は残ったのです」 - 東部ドイツの工業地帯 ドイツ 再統一 1990年代
第6節。奇跡と代価は同じ決断の裏表。功罪をあわせ呑む書き方の手本 - 危機の二十年 イギリス 1992年 シティの取引室
第7節。暗黒の水曜日と白い水曜日。同じ日の二つの名前 - 分裂・狂乱・奇跡 ドイツ 2002年〜現在 ドイツ連邦銀行の窓口
第8節。「制度としては終わっても、約束は生きている」 - グロッソ イタリア 13世紀 北イタリアの都市
統合の逆の側です。隣の都市が歩いて一日の距離にある半島では、統べる者がいないことが品位を守る力になりました。 - 選んだ終わり オーストリア 2002年 財布の中
同じ通貨の終わりでも、1938年に外から消されたときと、条約を結び換算率を刻んで自分の手で畳んだときとでは何が違うのか。二つの終わりを並べて読んでください。 - 一日六十ユーロ ギリシャ 2010〜2018年 ブリュッセル
共通通貨の中には、自国通貨の切り下げという出口がありません。その代わりに何が行われたかを、国債の額面を五三・五パーセント削った債務再編で確かめてください。
参考文献
- Our money — European Central Bank ユーロの導入と現行券種についての中央銀行自身の解説
この講座の本文で参照した本と資料です。