NOMISMA SCHOLA

日本の改鋳論争

C09 — 人物の鎖

日本の改鋳論争 — 科目の口絵

下げた男、戻した男、また下げた男、そして焼いた男。

監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 8 分(本文 4,079 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 9 問・実物 4 点・読む教材 8 停・参考文献 2 件

この科目で、できるようになること

  • 荻原・新井・田沼・松方の四人を、下げる側と戻す側に分けられる。
  • 「戻す」政策が誰に負担を強いたかを説明できる。
  • 南鐐二朱銀が、下げるでも戻すでもない第三の手だった理由を言える。
  • 同じ問いへの四つの答えを、条件の違いから比べられるようになる。
  • 白石・吉宗・水野・明治政府の改鋳(改革)の成績を、事実で比較できる。
  • 「中身を減らす改鋳がうまくいった例」(元文)の条件を説明できる。

レッスン(8節)

  1. 下げた男 — 荻原重秀行為は記録に残り、動機は伝聞に頼る。人物を追うときは、この非対称を意識する。
  2. 第三の手 — 田沼意次と南鐐二朱銀下げる/戻すの二択に見えても、第三の手がありうる。額面の設計や、財源そのものの変更。
  3. 焼いた男 — 松方正義と、その代償「戻す」政策は正しいが痛い。そして痛むのは、決めた人ではない。
  4. 四人を並べて、何が問えるか四人は同じ問いへの違う答え。ただしこの鎖には材料の偏りがある。制約は隠さず書く。
  5. 戻して、細らせた男 — 新井白石三度の上書で荻原を退け、品位を戻し、経済を細らせた。理想の勝利の成績表。
  6. 捨てられる人 — 吉宗と元文の増歩自分の信じた良貨を二十年で捨て、増歩つきで下げた。うまくいった改鋳の稀な例。
  7. 出目なしには回らない — 天保の袋小路改鋳の差益が歳入の三割を超える。改革者・水野忠邦すら、この仕組みを断てなかった。
  8. 紙で戦った政府 — 西南戦争と松方の前提戦費の九割を紙で払い、インフレが来た。松方(第3節)の焼却は、この後始末だった。

読む教材(8)

  • 改鋳の世紀 日本 1658〜1713年 江戸 勘定所
    第1節。下げた側の記述です。引用の注記まで含めて読んでください
  • 改鋳の世紀 日本 1772年 江戸
    第2節。品位を下げずに額面で解こうとした第三の手です
  • 西南戦争とインフレ 日本 1881〜1885年 東京と農村
    第3節。「けれど、その代償は」以下を、必ず最後まで読んでください
  • 飢饉と打ちこわし 日本 1772〜1788年 江戸城・日本橋
    第2節。「算盤の置き換え」という言葉が出てきます
  • 改鋳の世紀 日本 1736年 江戸・大坂堂島
    第6節。うまくいった「下げる改鋳」。増歩の設計と八十年の安定
  • 飢饉と打ちこわし 日本 1837〜1842年 江戸 勘定所
    第7節。出目が歳入の三割超——依存の構造の実数
  • 西南戦争とインフレ 日本 1877年 東京 紙幣寮
    第8節。「紙で戦費を払うと決めたのは、政府のほうです」
  • 西南戦争とインフレ 日本 1878〜1881年 町と村
    第8節。インフレの損得の非対称。村と町と国

評価方法

科目内の演習 9 問(確認 7・比較 1・記述 1)。到達は自己評価で記録します。

参考文献

  • 日本貨幣史 — 日本銀行金融研究所 貨幣博物館 古代(7世紀後半〜)から近代までの時代別解説。和同開珎以前の商品貨幣、渡来銭とびた銭、江戸の貨幣単位と交換相場、円の誕生と金本位制
  • 常設展示(貨幣博物館) — 日本銀行金融研究所 貨幣博物館 実物にもとづく常設展示の解説。大判の製造目的と仕様、日本最古の紙幣「山田羽書」、日本銀行券の肖像

実在を確認した文献・一次資料のみを載せています。