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太陽王の銀貨と空の金庫

1690年に打たれた一枚の銀エキュ。財務総監の改革で財政は一度黒字になったはずでした。それでもなぜ、フランスは貧しくなっていったのか。銀貨が生まれた背景を遡ります。

3分でわかる 太陽王の銀貨と空の金庫

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1690年

ルイ14世の大きな銀貨エキュ・ブランが打たれた

3リーブル

額面。重さはおよそ27グラム

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ルイ14世の時代

三つの大戦争と宮殿づくりで、国の金庫が空になった

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1666年

財務の長コルベールの改革で、赤字が黒字になった

5200万 → 2400万リーヴル

国の借金の利払い

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それでも

度を越した戦費で、フランスは貧しくなっていった

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それより前

国は未来の税を当てにして、前借りでお金を集めていた

支出は1600年から1650年で5倍に

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1648年

王は貸し手への支払いを止めた。事実上の国の破産

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その後

パリの街にバリケードが築かれ、内乱が始まった

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1651年12月29日

宰相マザランの首に、賞金が懸けられた

15万リーヴル

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2400万リーヴル

改革のあとの国の利払い。半分になった

改革の前5200万リーヴル
改革の後2400万リーヴル

27グラム

1690年の銀貨エキュ・ブランの総量(およそ)

3あなたならどうする?

あなたは財務の長。改革で、国のやりくりがやっと黒字になりました。でも王は、また戦争を始めようとしています。国はどうなると思いますか?

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黒字だから大丈夫

黒字は1度は達成されました。それでも度を越した戦費が、金を国の外へ漏らし続け、フランスは貧しくなっていきました。

戦費しだいで、また苦しくなる

実際にそうなりました。そもそも王の治世は、未来の税を担保にした前借りから始まっていたのです。

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2026-08-31 葉山 満 コインをじっくり見る
フランス リシュリューとコルベール/財務総監の執務室

栄光の王の銀貨

ここに一枚の大型銀貨があります。1690年、トロワの造幣所で彫刻家ロエティエが手掛けた、ルイ14世のエキュ・ブランです。総量およそ27グラム、額面は3リーブル。原型は1641年のエキュ・ダルジャンとされます。

ルイ14世の親政は三つの大戦争で貫かれ、常備軍の膨張とヴェルサイユ造営が国庫を空にしました。財務総監コルベールは歳入構造を組み替えて一度は黒字に転じさせましたが、記事は言い切ります。それでも度を越した戦費のためフランスは貧しくなっていった、と。

黒字を達成した財務総監

太陽王の親政を財政で支えたコルベールは、民が納めた税の半分にも満たない額しか、王に届いていないと暴きました。彼は前任フーケを弾劾し、公債の一部を踏み倒し、利払いを下げ、直接税を間接税へ移します。

彼の改革で、赤字は千六百六十六年に黒字へと転じました。利払いは五千二百万リーヴルから二千四百万リーヴルへ半減します。コルベールにとって国の富とは、国のうちに貯め込む金銀の量でした。輸出で稼ぎ、輸入を関税で抑え、王立の工房を興します。けれど記録は、それでもフランスは貧しくなったと断じています。度を越した戦費が、金を国の外へ漏らし続けたのです。

未来から借りていた金

そもそも、ルイ14世が即位した時点で、勘定はすでに未来へ回されていました。一六四二年、宰相リシュリューが世を去り、翌年、ルイ十三世も後を追います。四歳で即位した幼い王の治世は、母后アンヌ・ドートリッシュの摂政と、首席大臣マザランによって始まりました。

王が代わっても戦争は止まらず、国家の支出は一六〇〇年から一六五〇年のあいだに五倍へ膨らみます。その金はどこから来たのか。王権は官職を売り、未来の税を担保に、トレタンと呼ばれる金融請負人から現金を前借りすることで賄っていました。

宰相の首にかかった賞金

一六四八年、この歪みは破綻します。王権は、官職の世襲を認める代わりに、上級法院の官僚から俸給の四年分を留保すると告げました。これに法院は連合して抵抗し、地方総監の廃止や減税、課税への同意権を要求します。窮した王権は、貸し手であるトレタンへの支払いを止めました。事実上の国家破産です。

パリの街路には樽と鎖でバリケードが築かれ、フロンドと呼ばれる内乱が始まります。一六四九年一月、摂政政府は幼い王を連れてパリを脱出。やがて首席大臣マザランも亡命を強いられます。一六五一年十二月二十九日、高等法院はマザランの首に、十五万リーヴルの賞金を懸けました。宰相の首に、国家の機関が値を付けたのです。

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