顔を描く貨幣、文字で語る貨幣
ビザンツとイスラームの貨幣を見比べ、図柄と信仰の関わりを考えます。
本文を読む目安:約6分
確認問題は任意です(この時間に含みません)
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3分でわかる 顔のお金と文字のお金
- 絵で見る
- 数字で見る
- あなたならどうする?
- くわしく読む
1絵で見る
横に送って見られます
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692年ごろ
ビザンティンの金貨に、皇帝ではなく神の顔が刻まれた
支配は神に守られている、という宣言
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696年
イスラームのカリフは逆に、顔を消して文字だけを刻んだ
神の顔を金属に刻むことこそ、いけないこと
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どちらも、それぞれの信仰の中では筋が通っていた
勝ち負けはつかず、両方が1000年を超えて続いた
4 / 7
1566年
「神の姿を描いてよいか」の争いは、内側でもくり返された
教会の像が打ち倒された
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8世紀
争いの最中にも、王たちは相手の金貨の形をまねた
交易で信用のある金貨の形だったから
6 / 7
紀元前2世紀
インドでは、ギリシャ文字とインドの文字が1枚に並んだ
対決ではなく、同じ1枚に同居
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今、ユーロのお札に人の顔はない。スマホの支払いは文字と数字だけ
対決は終わらず、静かになった
2数字で見る
1000年を超えて
顔の金貨と文字の金貨。両方の形が生き延びた長さ
3あなたならどうする?
あなたは新しい国の王です。いちばん信用されている金貨は、敵の国の文字入り。自分の金貨の形をどうしますか?
選んでみてください
敵の文字の形をまねる
8世紀のマーシア王オファは、読めないアラビア文字ごと写し、自分の名を割り込ませました。お金は教えの違いを待ちません。
自分の国らしい図柄にする
教えの上ではそれが筋です。でも実際には、交易で信用のある形をした金が高く信用され、敵の形を写す王が何人もいました。
教えの前線と、商いの前線は、別の地図を描きます。お金はその両方に立っていました。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 六九二〜696年の「貨幣の神学論争」を、両陣営の論理つきで説明できる。
- 聖像破壊(イコノクラスム)が貨幣デザインに及んだ経路を言える。
- 敵の図像・文字を写す「借用」を、対決の派生として位置づけられる。
詳しい案内
講座の番号:C05
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習5問・コイン2点・読む教材5件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 図像の対決の現代形(顔のない通貨・文字だけの決済)を論じられる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
- コインの絵と文字を読み解く
分かること:一枚の表裏を見て、どの部位に何があるかを指せるようになる。
本文の第4節で、この講座に触れています。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習5問(確認4・比較1・記述0)。到達は自己評価で記録します。
この講座の6つの章
- 神の顔を刻んだ皇帝 — 692年皇帝ではなく神が貨幣に載った。それは信仰の宣言であり、激しい論争の始まりだった。
- 文字で応えたカリフ — 696年顔を消し、言葉だけを残す。逆の答えは、逆の信仰の、同じだけ一貫した表現だった。
- 内側の揺り戻し — 聖像破壊の系譜対決は帝国の間だけでなく、それぞれの内側でも続いた。八百年後、嵐は低地を走る。
- 敵の答えを写す — 対決のねじれ対決の最中にも、王たちは敵の様式を写した。憧れは、教義より足が速い。
- 混血の貨幣 — 出会いの物証ギリシャ人の顔をした仏教の王。対決の周縁では、二つの文明が一枚に同居した。
- 対決の現在地 — 顔のない時代にユーロは架空の橋を、決済アプリは文字と数字だけを選んだ。対決は終わらず、静かになった。
読む教材(5)
- 神の顔 総論・世界 ビザンティン 後685–695年
第1節。神が硬貨に刻まれた瞬間と、それが呼んだ論争 - ダマスカス 総論・世界 ビザンティン 後696–697年
第2節。まったく逆の答え。対決のもう一方の当事者 - 前夜 オランダ 1566年8月 フランドル西部、教会
第3節。八百年後の実力行使。問いは決着していない - オファのペニー イギリス 8世紀後半 マーシアからの遠い交易路
第4節。対決のねじれ。敵の様式を写した王の物証 - ヘレニズム 総論・世界 紀元前155年 メナンドロスのインド
第5節。対決ではなく同居を選んだ周縁の一枚