紙幣はなぜお金として使えるのか
金属と交換できる札から、交換を約束しない札まで。紙幣を支える仕組みを比べます。
本文を読む目安:約8分 / 本で詳しく読む目安:約33分
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3分でわかる 紙幣が使えるわけ
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- あなたならどうする?
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1絵で見る
横に送って見られます
1 / 8
明治18年
大黒札を窓口に出すと、1円銀貨が返ってきた
金属が返ってくる札=兌換(だかん)
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今
今の札を銀行に出しても、金属は返らない。それでも使える
返してもらう必要を感じていない=不換(ふかん)
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17世紀 ロンドン
金貨を金細工師にあずけ、その預り証をお金として使った
お札のはじまり
4 / 8
17世紀
あずけた金貨が、1度に全部引き出されることはない
この気づきが、銀行の仕事のもとになった
5 / 8
札がそろう前のアメリカ
見なれない札は、確かめる手間の分だけ安くしか通らなかった
財布には数千種類の札の候補があった
6 / 8
1720年 フランス
「お金は紙で良い」。正しい考えが、歯止めなしで破裂した
22億3510万リーヴル
5月31日の札の残高
7 / 8
1865年
南部連合が負けると、その紙幣はほぼ無価値になった
紙は1枚も変わっていない。約束の主が消えた
8 / 8
1923年11月 ドイツ
国中の土地を裏づけにした新しいお金で、物価が止まった
1兆 → 一
1兆マルクを一レンテンマルクに交換
2数字で見る
1兆マルク
新しいお金の一レンテンマルクと交換した、古い札の額
3年
日本銀行が開業してから、兌換の札を出すまで待った年数
3あなたならどうする?
あなたは札がそろう前のアメリカの商人です。客が、聞いたこともない遠い町の銀行の1ドル券で払おうとしています。どうしますか?
選んでみてください
額面どおり1ドルで受け取る
当時は、遠い町の銀行の券は額面より安くしか通りませんでした。偽物でなくても、確かめるのに手間がかかる分だけ値打ちが下がったのです。
割り引いて受け取る
実際によく起きたことです。「本物か分からない」からではなく、「確かめる費用がそれだけかかる」から割り引かれました。
札が一つにそろうと、確かめなくてよくなります。お金の歴史は、確かめる手間を減らす歴史でもあります。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 兌換紙幣と不換紙幣の違いを、窓口で何が起きるかで説明できる。
- 紙幣が信用を得るまでの順序を、段階に分けて言える。
- 紙幣が信用を失う瞬間に何が起きているかを説明できる。
この講座の本
『紙幣はなぜお金として使えるのか』
始めから終わりまで通して読む本。図版13点・読み終える目安 約33分
無料で試し読みできる範囲: 「窓口で何が返ってくるか、で分かれる」
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詳しい案内
講座の番号:B11
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習11問・コイン5点・読む教材11件・参考文献2件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 紙幣の種類が多いことが、なぜ問題になるのかを言えるようになる。
- 銀行券の誕生を、金細工師の預り証から「又貸しの発見」まで説明できる。
- 紙幣の死(南部連合)と再生(レンテンマルク)を、信用の設計として対比できる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習11問(確認7・比較1・記述3)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 窓口で何が返ってくるか、で分かれる兌換と不換の違いは、窓口で金属が返るかどうか。不換が弱いのではなく、信用の作り方が違う。
- 紙幣が生まれるとき、たいてい戦費が絡んでいる紙幣制度は、乱れのあとに作られる。制度が先に信用を作るのではない。
- 種類が多いことが、それ自体で問題になる確かめる手間そのものが、価値を下げる。統一の効き目は、偽造対策より確認の省略にある。
- 紙は、物質でもある紙幣は信用と物質の二層でできている。燃えたら無なので、現存数は流通量を示さない。
- 金細工師の預り証 — お札のもう一つの生まれ方紙が金貨の代わりに手から手へ。そして「全部が一度に引き出されることはない」という発見。
- 国家を呑んだ紙 — ジョン・ローの実験「お金は金属である必要はない」。正しい洞察が、規律を欠いて国家ごと破裂した。
- 緑の紙、消えた紙 — 南北戦争の二つの紙幣同じ戦争の二つの紙。勝った側の紙は祖先になり、負けた側の紙は約束の主を失った。
- 紙切れからの再設計 — レンテンマルクの奇妙な生還裏づけは土地への抵当権。一兆マルクを一と交換。信用は設計できることを証明した瞬間。
この講座で読む実例(11)
- 蔵の暗がり 日本 西南戦争とインフレ 1885年
第1節と第4節。兌換の窓口と、こんにゃく粉の話が両方入っています - 東京 日本銀行 日本 西南戦争とインフレ 1882〜1899年
第2節。値の開きが消えるのを三年待った理由を、原文で確かめてください - 国法銀行制度 アメリカ 1860年代 商人の帳場、ふたたび
第3節。数千種類の券があった財布の記述です - 一九二三年秋 ドイツ 1923年11月 ベルリン、両替の窓口
紙幣が信用を失いきったときの数字。四兆二千億という桁を見てください - 金融の誕生 総論・世界 後17世紀 ロンドンの金細工師
第5節。預り証が歩き出す瞬間と、又貸しの発見 - ジョン・ローの泡 フランス 1720〜1789年 ルイ十五世治下のフランス
第6節。破裂の後遺症。タレーランの警告まで含めて - 南北戦争 アメリカ 1865年 敗戦の南部
第7節。「約束の主だけが、消えたのです」 - ドイツ 総論・世界 後1923年11月 レンテンマルクの奇跡
第8節。信用とは設計できる——奇跡の設計図 - 共和国とエスクード(2) ポルトガル 1925年 リスボンの検査台
紙の側に真偽はない、と言い切る停です。本物の版で、本物の紙に、正規の工程で刷られた札が、発行の認可だけを欠いていました - 紙幣を、半分に ギリシャ 1922年 交換の窓口
手元の紙幣が中央で二つに切られ、左半分は半値の通貨に、右半分は二十年満期の利付債になりました。現金で暮らす人だけが直撃を受けた仕組みまで書かれています - 交換を約さない紙幣 中国 1375年 明の宝鈔の刷り場
銀とも銅銭とも換えないと決めた紙です。取り付けを避けるためにそもそも約束をしなかったという設計が、三度目の紙幣を二度目より弱くしていく理屈をたどってください
参考文献
この講座の本文で参照した本と資料です。