NOMISMA SCHOLA

ライオンダールデル

1575年〜 ・  ・ 十六世紀 ・ ホラント州(本品1589年銘)

ライオンダールデル(表)ライオンダールデル(裏)
Museum Rotterdam / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

1575年、反乱のさなかのホラント州が発行を始めた大型銀貨。表に獅子の盾を構える騎士、裏に立ち上がる獅子を刻み、王の肖像も王の名もない。量目はおよそ27.7グラム、品位はおよそ四分の三——リクスダールデルより低い、戦費の銀貨である。品位の低さゆえに国内では嫌われ、だからこそ対外支払いへ回った。悪貨は旅に出たのである。オスマン帝国ではエセディ・グルシュと呼ばれてレヴァント貿易の決済銀貨となり、ルーマニアとモルドバのレウ、ブルガリアのレフは今もこの獅子に名を負う。北米へ渡った流通銀貨のひとつとして、ダールデルからダラーへ続く名の鎖の中継ぎも担った。本品は1589年銘の一枚である。