P04 強い通貨が国境を越える
フクロウ銀貨・デナリウス・8 レアル → ドル基軸
なぜ、疑わずに済む一枚が国境を越えるのか
四段
似ている
見慣れた一枚は確かめる時間が短い。だから国境を越える
違う
フクロウは銀そのものが通用した。ドルは制度・市場・軍事・法が支える
使える
基軸の条件は強さではなく「疑わずに済むこと」。そして「疑わずに済む」ためには、流動性の高い市場・安全資産の供給・法制度・交換可能性・ネットワークなど複数の条件が要る
限界
素材の通用と制度の通用を同じ「基軸」で呼ぶとき
「似ている」で終わらせないための四段です。限界は、どこから先は歴史類推をしてはいけないか。
現代のお金の停で読む
教本『現代のお金は、誰の負債なのか』の停のうち、この構造が現れるもの。各停の四段は、教本では画面に出していません。ここで並べて読みます。
ドルは、米国の外でも作られる — ユーロダラー
6-01 / 2008 年の前に 1962 年〜2008 年 ロンドン・ニューヨーク・バーゼル
- 似ている
- 自国の外で自国の通貨が流通し、その市場の詰まりが本国に跳ね返る構図は、銀貨が国境を越えて流通した時代にもあった。
- 違う
- 流通しているのが金属ではなく海外の銀行の預金で、詰まりを解くのが中央銀行どうしのスワップという負債の交換である。
- 使える
- 「ドル資金の逼迫」と聞いたら、米国の外のドル預金と、中央銀行のスワップ線を思い出す。
- 限界
- 数字は BIS 論文の記述と、そこで引かれた同行の推計。ユーロダラー市場の成り立ち(1950 年代)は扱わない。
金融システムが止まりかけたとき、中央銀行は何をしたのか
7-02 / 2008 と QE 2007 年〜2009 年 ワシントン
- 似ている
- 取り付けのときに誰かが最後に貸す、という役割は、公的な貸付機関が設けられた近世の危機と地続きにある。
- 違う
- 貸す相手が銀行だけでなく MMF や CP 市場や海外の中央銀行に広がり、貸す手段が貸借対照表の拡大そのものになった。
- 使える
- 危機の報道で「流動性供給」と聞いたら、三つの群のどれか、誰に、何を担保に、を分ける。
- 限界
- 各プログラムの規模と結果は扱わない。危機の原因の評価も範囲外。
レポの金利が、契約の基準になる
5-04 / レポと担保 現在 ニューヨーク
- 似ている
- 「基準となる金利」を市場の取引から作る発想は、為替相場の建値や商品取引所の値決めと同じ。
- 違う
- 基準の土台が特定の銀行の申告ではなく、国債担保の実取引の中央値である。
- 使える
- 「SOFR 連動」の契約を見たら、その金利が国債レポの翌日物から来ていることを思い出す。
- 限界
- 日本の円金利指標(TONA など)や東京レポ・レートの算出は、この停では扱わない。