極印研究
E2 — 一枚から、何枚打たれたかを知る

古代の造幣所に、生産の記録は残っていません。それでも、何枚打たれたかを言う方法があります。
監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 10 分(本文 4,791 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 8 問・実物 2 点・読む教材 4 停
この科目で、できるようになること
- 二枚の貨幣を見て、「型が同じ」と「極印が同じ」を分けて言える。
- 極印表の記法(表はローマ数字・裏はアラビア数字)を読み、個体を極印で繋げる。
- 標本の枚数と極印の数から n/d を計算し、見積もりに使える標本かを判断できる。
- 極印の数から発行量を見積もるときの、幅と前提を説明できる。
レッスン(8節)
- 極印とは何か — 打つ道具と、打たれた貨幣極印の傷は貨幣に写る。数えるのは、摩耗の遅い表極印。
- 表と裏は別の道具 — 一つの表極印が、いくつもの裏極印と組む表は長持ちし、裏が先に替わる。表極印 31 に裏極印 84。
- 同じ極印を見分ける — 「似ている」と「同じ」「似ている」は型の話、「同じ」は極印の話。決めるのは傷・欠け・文字の位置の一致。
- 極印の連鎖 — 個体をつないで、打つ順序を復元する共有された極印が個体を繋ぎ、型番号と彫り直しが向きを決める。
- 何個の極印が使われたか — 観察された数と、原初の数数えた極印は観察の数。一枚だけの極印があるなら、まだ見つかっていない極印もある。
- 発行量を見積もる — 極印の数から、枚数へ表極印ごとに 20,000 枚。幅は 10,000〜40,000。掛けた結果は下限で、答えではない。
- 何が言えて、何が言えないか — 極印研究の限界標本の作り方・極印の彫り直し・信頼区間・流通量。四つの境目を越えて語らない。
- 一枚から見える国家 — 極印の数が語る、造幣の規模と時間極印の数は造幣所の規模と時間を語る。ただし留保ごと引用する。
読む教材(4)
- 肖像の銀 イタリア 16世紀 ローマのゼッカ
一つの極印から何千枚も打たれ、摩耗するまで使われる。第 1 節と第 6 節の前提が、彫る側から書かれています - 植民市の銀 イタリア 前6世紀 シュバリスとメタポントゥム
表の極印と裏の極印は別の道具で、寸分たがわず合わせて打つ。第 2 節の「表と裏は別」を、打ち方の側から - シラクサの美 イタリア 前5〜前4世紀 彫金師の工房
極印を彫った職人が名を刻んだ例。極印が「彫られた道具」であることを、名前つきで確かめられます - 貨幣の顔 総論・世界2700年 二千七百年 誰の顔が載るか
新しい極印を彫って、次の打刻から替える。図像が替わっても量目と品位を確かめる——第 8 節の史料批判との接続
評価方法
科目内の演習 8 問(確認 5・比較 0・記述 3)。到達は自己評価で記録します。