NOMISMA SCHOLA

戦争と貨幣

B07 — 横断テーマ

戦争と貨幣 — 科目の口絵

戦争は、貨幣制度を壊します。そして、しばしば新しい制度を作ります。

監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 8 分(本文 3,853 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 11 問・実物 3 点・読む教材 11 停・参考文献 1 件

この科目で、できるようになること

  • 戦費をまかなう四つの手段を挙げて、それぞれの副作用を言える。
  • 「戦争が終わってから起きること」を、順を追って説明できる。
  • 議会や中央銀行が、戦費の必要から生まれたことを説明できる。
  • 戦時の貨幣の記録を読むとき、どこに留保が要るかを判断できる。
  • 身代金・矢銭・兵糧・偽造という「教科書に載らない戦費」を実例つきで説明できる。
  • 賠償を、払う側と受け取る側の両面から論じられる。

レッスン(8節)

  1. 戦費をまかなう四つの方法戦費の四手段は、負担を移す先が違うだけ。使える手段の数が、その国の信用を示す。
  2. 戦争が終わってから、いちばん大きいことが起きる戦時の貨幣を読むときは、必ず戦後まで追う。壊れるのは終わってから。
  3. 賠償は、二度目の戦争になる棚が空だったのは物不足ではなく、信用不足。信用が戻ると、モノは翌朝に戻る。
  4. 八編すべてに、この主題がある戦争はすべての貨幣史に現れる。同じ戦争を二編で読み比べるのが、比較の入り口。
  5. 王の値段 — 身代金という戦費中世の戦争では王も商品だった。身代金の約束は巨大で、そして最後まで払われないことがある。
  6. 矢銭と硝石 — 戦国の兵站経済信仰のつながりが送金と徴兵の道になり、火薬の原料は海外からしか買えなかった。戦国はカネの戦争。
  7. 偽札という兵器 — 通貨への攻撃敵の通貨の信用を破壊する偽造戦は、独立戦争からベルンハルト作戦まで繰り返された。
  8. 賠償の両面 — 払う国と受け取る国同じ「賠償」が、払う側では通貨の崩壊を、受け取る側では金本位の原資を生んだ。

読む教材(11)

  • 百年戦争のカネ イギリス 1337〜1453年 ウェストミンスターの議会
    議会が戦費の必要から育った場面。「カネを握る者は、口も持つ」の実例です
  • 太陽王の金が溶ける フランス 1709〜1715年 ヴェルサイユの寝室
    第2節。戦争が終わってから国庫が空になる過程を、原文で確かめてください
  • ルール占領 ドイツ 1923年1月 ルール工業地帯
    賠償が二度目の戦争になる場面。担保として工業地帯が押さえられます
  • 一九四八年六月二〇日 ドイツ 1948年6月 西側占領地区の商店街
    第3節。棚にモノが戻った理由が、物不足ではないと説明されています
  • フランの誕生 フランス 1360年 秋の平原、ブレティニー
    第5節。「額面と、実際に払われた額とは違います」——身代金の数字の読み方
  • 鉄砲と十字架 日本 1552〜1586年 和泉 堺・豊後府内
    第6節。戦国の火薬は海の向こうから。銀五匁という計算の出どころも原文で
  • 偽金の歴史 総論・世界2700年 後 1942年 ベルンハルト作戦
    第7節。イングランド銀行すら見分けられなかった国家的偽造の記録
  • 日清・日露の戦費 日本 1897〜1904年 ロンドン
    第8節。「外から借りるための資格」。受け取った賠償の使い途
  • 壊れる貨幣 ギリシャ 前413年 デケレイアの砦
    砦がひとつ築かれただけで銀山への道が絶たれ、フクロウ銀貨を生んできた銀の供給が止まります。戦争が国庫より先に、貨幣の材料を止めることがあるという例です
  • 沙汰止み オーストリア 1622年ごろ 宿営地
    戦費のために薄めた貨幣を、その戦争を担う兵が受け取らなくなる場面です。貨幣は命令では流れず、受け取る側の了解があってはじめて流れる——その一線がどこで越えられたのかを読んでください
  • 貸さない銀行 トルコ 1914年 帝国オスマン銀行の役員室
    戦争が始まって、帝国は自国で紙幣を刷る権利が自国にないことを知ります。ただ一つの発券銀行が英仏の資本で、出資者の母国と戦う戦費のために金庫を開けなかった記録です

評価方法

科目内の演習 11 問(確認 7・比較 1・記述 3)。到達は自己評価で記録します。

参考文献

実在を確認した文献・一次資料のみを載せています。