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貸す国が、払う国になった日

一億グルデン。条約の紙に書かれたその数字が、ヨーロッパ中の宮廷に金を貸してきた国の転落を、一行で言い切っていた。

2026-10-27 葉山 満 お金の話
オランダ ナポレオンの弟の王国/ハーグ

一億グルデンという転落

千七百九十五年のハーグ条約は、数字で語ります。新しく生まれたバタヴィア共和国がフランスに支払う償金、一億グルデン。それに加えて、国内に駐留するフランス軍の費用も、共和国が負担します。

つい先ごろまで、この国はヨーロッパ中の宮廷に金を貸していました。それが今度は、自分が巨額を払う側に回った。革命の言葉は自由を語りましたが、条約の言葉はグルデンの数字で書かれていたのです。

兄に従わなかった王

千八百六年、皇帝ナポレオンは弟のルイ・ボナパルトを王位に就け、ホラント王国を作りました。しかしこの王は、兄の思惑どおりには動きませんでした。英国を締め出す大陸封鎖の執行をめぐり、徴兵をめぐり、皇帝との衝突を重ねます。そして千八百十年、王位を降ります。

短い治世が終わりに、一つの置き土産を残しました。州ごとに分かれていた造幣が整理され、鋳造はユトレヒトの造幣所へ一元化されていったのです。かつて州ごとに貨幣を打ってきたこの国で、貨幣を打つ場所は一つになっていきました。

利子が三分の一になった年

千八百十年から千八百十三年まで、オランダはフランス帝国に併合されました。地図の上から国そのものが消えた、その年に、帳簿の上でも背骨が折られます。ティエルセーリング——国債の利子を三分の一しか払わないという措置です。

二世紀にわたり、利子とともに暮らす人々の国でした。その利子が三分の一になる。ティエルセーリングは、二百年の信用の上に築かれてきた暮らしを根元から折りました。

十進法が来た朝

千八百十三年、オラニエ家が帰ってきました。ウィレム一世が主権公として立ち、千八百十五年には新しい王国の王となります。千八百十四年には発券銀行、デ・ネーデルラントシェ・バンクが設立されました。預金を帳簿の上で振り替えるかつての銀行とは異なる、銀行券を発行する中央銀行です。

千八百十六年、新しい王国の貨幣法が定められます。一グルデンは、百セント。一グルデン二十ストイフェルという旧い世界が終わり、十進法の世界が来ました。手本は、革命フランスのフランと、アメリカ合衆国のドルです。世界に信用の技を教えた国が、十進法だけは征服者とかつての教え子から学びました。

ただし、古い言葉は簡単には死にません。ストイフェルの名は、五セント硬貨の俗称として、二十世紀まで生きつづけます。

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