お金の始まりを比べる
リディア、中国、インド。形も作り方も違う初期の貨幣を見比べます。
本文を読む目安:約10分 / 本で詳しく読む目安:約38分
確認問題は任意です(この時間に含みません)
読める範囲:講座の入口と目次は無料・本文は購入された方向け
購入後は、使えるようになった時点から本文を読めます
3分でわかる お金の始まり(見比べ)
- 絵で見る
- 数字で見る
- あなたならどうする?
- くわしく読む
1絵で見る
横に送って見られます
1 / 9
紀元前3100〜2900年ごろ
古い粘土板に残るのは、物々交換ではなく大麦の配分の帳簿
物々交換で暮らす社会の記録は、示されていない
2 / 9
紀元前600年ごろ
リディアの王が、金と銀の混ざった塊にライオンの頭を打った
「この1枚に、これだけの値打ちがある」という宣言
3 / 9
値打ちを決めたのは金属ではなく、印を打った者だった
54パーセント
王のライオンの硬貨にふくまれる金
4 / 9
紀元前6世紀
西のリディア、東の中国、南のインド。三つの大地で別々に生まれた
一箇所の発明が広まったのではない
5 / 9
前575年ごろ
「交易所」という名の町が、イベリア半島への窓になった
銀の産地でも、銀貨は自然には生まれなかった
6 / 9
621年
唐の開元通宝。この1枚の重さが「匁」の元になった
3.75グラム
開元通宝1枚の重さ
7 / 9
708年
日本は、量る銀から数える銭へ。和同開珎ができた
前の無文銀銭は重さがばらばら。発行者も分かっていない
8 / 9
北宋
重い鉄銭の代わりに、店の預かり証の紙が使われ始めた
のちに政府が発行を担った(西暦1024年1月)
9 / 9
元
紙幣を刷りすぎて物価が跳ね、紙は紙くずになった
紙は刷れても、信用は刷れない
2数字で見る
54パーセント
王のライオンの硬貨の金。採れるままの塊と同じ値に定められた
採れるままの塊(平均)およそ73パーセント
王の硬貨54パーセント
3つの大地
貨幣が別々に生まれた場所(リディア・中国・インド)
3あなたならどうする?
あなたは王の造幣係です。金と銀の混ざった塊に、ライオンの印を打ちました。印の前と後で、変わったのはどちら?
選んでみてください
金属の重さと純度
金属そのものは、印の前後で変わっていません。同じ塊のままです。
中身を誰が保証するか
そこが変わりました。値打ちを決めたのは金属ではなく、印を打った者です。貨幣は素材の話ではなく、保証の話です。
現代の紙幣は、素材に値打ちがありません。それでも通じるのは、保証する者がいるからです。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 「物々交換の不便から貨幣が生まれた」という説明の、どこが確かめられていないかを言える。
- 刻印が保証しているものを、金属そのものと区別して説明できる。
- 貨幣が一箇所の発明ではないことを、根拠を挙げて述べられる。
この講座の本
『お金の始まりを比べる』
始めから終わりまで通して読む本。図版16点・読み終える目安 約38分
無料で試し読みできる範囲: 「物々交換から生まれた、とは書かれていない」
この本を試し読み →
本を読む →
詳しい案内
講座の番号:B01
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習12問・コイン4点・読む教材15件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 「その土地にとっての誕生」と「人類にとっての誕生」を、混ぜずに扱える。
- 「生まれる」と「伝わる」を区別し、それぞれの実例を挙げられる。
- 日本の貨幣の始まりを、無文銀銭から和同開珎まで順に説明できる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習12問(確認8・比較1・記述3)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 物々交換から生まれた、とは書かれていない粘土板に残るのは配分と貸し付けの帳簿。物々交換説は、筋は通るが、物々交換で暮らす社会の記録が示されていない。
- 刻印が保証したのは、金属ではない王の硬貨は、金を五十四パーセントに薄めた合金に印を打ったもの。クロールの解釈では、王家はそれを採れるままのエレクトロンと同じ値に定めた。値打ちを決めるのは印を打った者。貨幣は素材でなく保証の話。
- 三つの大地で、別々に生まれた貨幣は一箇所の発明ではない。三つの大地で別々に生まれ、形はそれぞれ違った。
- 誕生は、何度も起きる「誕生」には二種類ある。人類にとっての最初と、その土地にとっての最初。混ぜない。
- 絵のない一枚と、獅子の一枚最初期の硬貨には、絵柄のないものも、十数種類の印もあった。硬貨を打ったのは王だけではない。
- 生まれる場所、伝わる場所 — エンポリオンの窓発明は三か所、伝播は無数。伝わった土地には「窓」があり、窓には名前が残っている。
- 輸入から始めた島 — 開元通宝から和同開珎へ日本は唐の銭を手本に始めた。手本の一枚の重さが、匁という単位にまでなった。
- 第二の誕生 — 四川の預かり証紙幣は商人の工夫として生まれ、国家が公認して貨幣になった。誕生の型は金属と同じ。
この講座で読む実例(15)
- メソポタミア 総論・世界 起源以前 紀元前31–18世紀
第1節。粘土板が実際に記録していたものを確かめてください - リディア パクトロス川 総論・世界 起源以前 伝説の時代
第2節。まだコインではない段階です - 無地のエレクトロン 総論・世界 起源以前 紀元前7世紀後半
第2節。⚠ 図像すら無い「刻印以前の刻印」。この講座の核です - リディア 総論・世界 紀元前600年 リディア サルディス
第2節。国家が重さと純度を保証した瞬間です - イスラームとインド 総論・世界 紀元前6–4世紀 インド 打刻銀貨
第3節。三つの大地で別々に生まれたことの根拠です - ギリシャ人の窓 スペイン 前575年頃 エンポリオン(現アンプリアス)
第4節。半島にとっての最初。⚠ 年代の幅の書き方に注目 - 銀の騎士 オランダ 1586年〜現代 造幣所、金の工房
第4節。四百年を超えて打たれ続けている規格です - 二つの王冠の戦争 スペイン 1717年 バルセロナ造幣所
第4節。誕生の裏で終わったものを見てください - 柱のドル スペイン 1728・1730年 マドリード
第4節。作り方の誕生。品位の記載値にも注目 - 唐 長安 日本 銭以前 621年〜
第7節。手本の一枚。重さが「匁」になった、という一行を見落とさずに - 近江 大津宮 日本 銭以前 667年頃〜
第7節。量るお金の実態。ばらつく重さと、貼り足された銀片 - 東方の貨幣文明 総論・世界 後1024年 宋 四川
第8節。世界最初の紙幣が、商人の預かり証から生まれる瞬間 - 海亀の銀貨 ギリシャ 前550年頃(諸説) アイギナの港
東で生まれた発明を受け取り、銀に仕立て直した島の一枚です。甲羅を負った海亀が何の象徴と解釈されてきたかまで読んでください。 - 貨幣が作られなくなる ロシア 12〜14世紀 ルーシ諸公国
いったん手にした打刻の技術を、二百年にわたって手放した土地の記録です。銀の棒と毛皮で支払いが続き、分かっているのは暮らしが続いていたことだけ、という書き方に注目してください。 - 典圜局 韓国 1883年7月 漢城の典圜局
鋳型に湯を流す鋳造から、圧印機で打つ打刻へ。作り方そのものを入れ替える宣言が、遅れて開国した側の理由とともに書かれています。