紙が焼ける
C12 — 人物の鎖

紙幣が紙くずになるとき、燃えているのは紙ではありません。
監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 8 分(本文 3,983 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 11 問・実物 5 点・読む教材 15 停・参考文献 1 件
この科目で、できるようになること
- 紙幣が値を失う場面で、実際に何が失われたのかを説明できる。
- 刷りすぎが起きる仕組みを、政府の側の事情から説明できる。
- レンテンマルクが効いた理由を、担保と約束に分けて説明できる。
- 同じ形が七百年のあいだに繰り返された理由を言える。
- マンダ・テリトリアルの失敗を「二枚目の紙」の構造として説明できる。
- 戦後の通貨清算(リーフティンク・新円)を「劇薬の処方」として比較できる。
レッスン(8節)
- 最初に焼けたのは、中国だった紙幣は百年働いてから焼けた。素材ではなく、刷る側の事情が変わったときに焼ける。
- 二度目は、パリだった兌換できる量を超えて刷れば崩れる。そして、崩れた記憶は次を防がない。
- 印刷機が、武器になった年刷りすぎは原因ではなく途中。なぜ刷らざるを得なかったかを見ないと、止め方も見えない。
- 火の消し方 — 物ではなく、約束紙を立たせるのは物ではなく約束。焼けるのも紙ではなく約束のほう。
- 道具を焼く儀式 — 二枚目の紙の失敗銅版を人前で焼いても、二枚目の紙は初日から暴落した。儀式は信用を作れない。
- 劇薬の処方箋 — リーフティンクと新円全紙幣の無効と預金封鎖。一週間を十グルデン札一枚で。戦後の清算は人の名で行われた。
- 天文学の国 — ジンバブエと火の再来年率で兆のさらに億倍。最初の火から千年、火事はいまも過去のものではない。
- 火の予防 — 独立という防火壁発行を政府から切り離し、物価に目標を置く。人類が火事から学んだ、現在の防火設計。
読む教材(15)
- 東方の貨幣文明 総論・世界2700年 後 1270年 元 大都
第1節。紙幣だけの経済が現れる場面です - 東方の貨幣文明 総論・世界2700年 後 14世紀 交鈔の暴走
第1節。その終わり。⚠「紙幣だから」で読まないでください - ジョン・ローの泡 フランス 1716〜1719年 パリ、ヴィヴィエンヌ街
第2節。ローが銀行を作る場面 - ジョン・ローの泡 フランス 1720年 パリ、王立銀行
第2節。崩壊の理屈が一行で書かれています - ジョン・ローの泡 フランス 1720〜1789年 ルイ十五世治下のフランス
第2節。崩れたあとに残った、紙への長い不信 - ルール占領 ドイツ 1923年 ベルリン、紙幣印刷所
第3節。この科目の中心。なぜ刷ったのかが書かれています - 一九二三年秋 ドイツ 1923年秋 街角、買い出しの道
第3節。手押し車の写真。⚠ 写真が何を写していないかも考えてください - レンテンマルクの奇跡 ドイツ 1923年11月15日 ドイツの農地と工場
第4節。担保が土地であることの不思議さ - レンテンマルクの奇跡 ドイツ 1923〜1924年 朝の市場、新しい紙
第4節。種明かし。物ではなく約束だったという一節です - インフレ三千年 総論・世界2700年 後 1946年 史上最悪ペンゲー
第4節。史上最悪の記録。数字の名前が足りなくなります - 刷りすぎた紙 フランス 1796〜1797年 パリ ヴァンドーム広場
第5節。儀式では信用は作れない。二枚目の紙の記録 - 十グルデンの一週間 オランダ 1945年9月 解放後の街、配給の窓口
第6節。十グルデン札一枚の一週間。劇薬に残った人の名 - インフレ三千年 総論・世界2700年 後 2008年 百兆ドル紙幣
第7節。火はいまも過去のものではない - インフレ三千年 総論・世界2700年 現代 予防接種
第8節。千年の火事から人類が学んだ設計図 - 金貨だけが物差し ギリシャ 1944年10月 後世の研究室
火の大きさを、速さ・古典の中の位置・長さという三つの物差しで測り直した停です。順位が物差しごとに入れ替わることを見てから、他の停の「史上最悪」を読み直してください。
評価方法
科目内の演習 11 問(確認 7・比較 1・記述 3)。到達は自己評価で記録します。
参考文献
- Inflation – lessons learnt from history — Deutsche Bundesbank 1923年のハイパーインフレーションについての中央銀行自身の記述。通貨が一般的な支払手段・価値保蔵手段として機能しなくなり、1923年11月にレンテンマルクへ置き換えられた
実在を確認した文献・一次資料のみを載せています。