アルフォンソ8世の金マラベディ
1174〜1217年(トレド打とされる) ・ 金 ・ 十二世紀 ・ トレド

面を埋めるのはアラビア語の銘、そのなかに十字と ALF の字——カスティーリャ王アルフォンソ8世がトレドで打った金マラベディである(1174〜1217年とされる)。刻むのは「カトリックの者たちのアミール、サンチョの子アルフォンソ」、教皇は「教会のイマーム」、縁には福音書の句。年紀はヒジュラ暦でなくヒスパニア紀元——言葉は敵のもの、信仰は自分のもの、暦は半島のもの。名の源は「ムラービトの金貨」モラベティノ。敵の貨幣が勘定の物差しになった半島で、キリスト教の王は自らその金貨を打ちはじめた。フィオリーノより半世紀以上早い本格金貨である。だがマラベディはやがて銀へ、低品位のビロンへと堕ち、実体を失って計算単位として19世紀まで帳簿に生きる——始まりは、半島最強の金貨の名だった。