土から出たコインが語ること
一緒に見つかったコインの種類と年代から、使われていた時代や場所を探ります。
本文を読む目安:約8分
確認問題は任意です(この時間に含みません)
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3分でわかる 土から出たコインの読み方
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- あなたならどうする?
- くわしく読む
1絵で見る
横に送って見られます
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まず表を作る。何が・何枚・いつのものか
数えないと、何も見えない
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1968年
函館の道路工事で、銭の詰まった甕が出た
374,435枚
重さ1.6トン。銭は93種類
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埋めた時期は、いちばん新しい1枚より後
「それ以降」であって「同時」ではない
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いちばん古い1枚は、銭が長く使われた証拠
1500年前の銭が、まだ通用していた
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残るのは、持ち主が戻れなかったもの
ホードが多い時代は、人が戻れなかった時代かもしれない
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なぜ埋めたかは、物からは分からない
蓄えの説と、祈りの説。答えは出ていない
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イングランドの銀貨が、本国より北欧で多く出る
空白は「無かった」ではなく「出ていない」
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1998年
飛鳥池で、銭だけでなく工房がまるごと出た
作られたことは確定。使われたかは今も決着していない
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1615年
大坂城の焼け跡の金。記録によって数が違う
金18,000枚とも、28,060枚とも
3あなたならどうする?
畑から、銭の詰まった甕が出ました。いちばん新しい銭は洪武通宝、いちばん古い銭は前漢のものです。甕が埋められたのは、いつだと言えますか?
選んでみてください
前漢のころ
いちばん古い1枚は、年代を決めません。古い銭が長く使われ続けたことを示すだけです。それ自体が大きな手がかりになります。
洪武通宝が作られた後
これが読み方です。埋めた時点で存在しなかった銭は入らないからです。ただし「それ以降」であって「同時」ではありません。
いちばん新しい1枚は時計、いちばん古い1枚は使われた長さ。でも、なぜ埋めたかは、まだ分かっていません。
再現画
この講座で、分かるようになること
- ホードから読み取れることと、読み取れないことを分けられる。
- 構成表の「最も新しい貨幣」が何を意味するかを説明できる。
- ホードが偏った標本であることを、具体的に指摘できる。
詳しい案内
講座の番号:E3
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習11問・コイン6点・読む教材11件・参考文献1件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- なぜ埋めたかを問うとき、答えが出ない場合があると判断できる。
- 主要なホードの発見が、それぞれ何を書き換えたかを言える。
- 出土の分布から交易の広がりを読む型と、その限界を説明できる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習11問(確認7・比較0・記述4)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 構成表を、まず作る構成表を作る。何の幅が広いかで、そのホードが語れることが決まる。
- 最も新しい一枚が、時計になる年代を決めるのは最新の一枚(それ以降)。最古の一枚は、流通の寿命を示す。
- ホードは、偏った標本である残っているのは、持ち主が戻れなかったもの。ホードが多い時代は、人が戻れなかった時代。
- 答えの出ない問いを、出ないまま置く物から分かるのは、何が・何枚・いつまで。なぜ埋めたかは分からないことがある。
- 学問を書き換えた壺 — 三つの大発見大発見は偶然やってくる。だがそれを学問にするのは、枚数を数え、記録する手続き。
- 出土地図は交易図 — 北へ行った銀貨幣は自分の出土地で語る。本国より外に多く出るとき、そこには銀の流れがあった。
- 工房ごと、出土する — 飛鳥池の朝銭だけでなく、鋳型も坩堝も未完成品も出た。作る現場の出土が、議論の土俵を変えた。
- 記録と土のずれ — 焼け跡の金銀文書の数字と掘り出された物は、突き合わせてはじめて史料になる。ずれ自体が情報。
読む教材(11)
- 撰銭の世 日本 14世紀末 / 1968年 蝦夷地 志海苔
第1節・第2節・第4節の出どころ。志海苔の構成と、答えの出ない問いまで - 封建とヴァイキングの銭 フランス 10世紀初 イングランド北西、リブル川の岸
第1節。六つの文化圏の銭が混じるホード。「すべてが貢ぎとは限らない」の留保に注目 - マッサリアの銀 フランス 前6世紀末〜前5世紀 オーリオルのオリーブ畑(プロヴァンス)
第1節。重さが0.15gから2.75gまで散らばる。規格が定まる前の姿です - 寺が銀行だった 日本 中世 鎌倉 由比ヶ浜
第4節。六道銭。「それこそが、いま調べられていること」という書き方を - 簒奪者の造幣所 イギリス 3世紀・発見2010年 サマセットの野
第5節。五万二千五百三枚という端数まで数えられた、物言わぬ台帳 - デーンゲルド イギリス 10世紀末〜11世紀 スカンディナヴィア
第6節。王のペニーが本国より北欧の土に多い——出土地図が語る銀の流れ - 壬申の乱 日本 7世紀後半 飛鳥池工房遺跡
第7節。「教科書が書き換わった日」。工房まるごとの出土を原文で - 天下の値段 日本 1615〜1616年 大坂・久能山
第8節。記録どうしで数が食い違う実例と、埋蔵金伝説への留保 - 海亀の銀貨 ギリシャ 前550年頃(諸説) 埋蔵貨の壺の前
文献の伝承に寄りかかっていた開始年を、土の中の証拠が引き下げました。何と一緒に埋まっていたかが年代の物差しになる、その道具立てを見てください。 - 帝国の体系 イタリア 1〜2世紀 帝国の街道
インドの海岸から出るローマ貨幣の話に、大切な留保が付いています。土に残るのは使われた貨幣ではなく、取りに戻れなかった貨幣のほうだという一文です。 - 南に埋もれた金貨 インド 1〜3世紀 考古と文献
見つかった場所は、探した場所でもあります。分布の偏りが当時の偏りなのか、今の調査の偏りなのかを、両方考えるための一段です。
参考文献
この講座の本文で参照した本と資料です。