江戸のお金を変えた人々
金銀の含有量を下げる、戻す。江戸時代の改鋳をめぐる判断と論争を読みます。
本文を読む目安:約8分
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3分でわかる 江戸のお金を変えた人々
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- あなたならどうする?
- くわしく読む
1絵で見る
横に送って見られます
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元禄
荻原重秀は、金貨と銀貨の中身を減らした。差の分が幕府に入った
中身を減らすのは、税より簡単で借金より速い
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1714年
新井白石は中身を元に戻した。でもお金の量が減り、景気が縮んだ
金の割合は84パーセント台へ
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1736年
吉宗は中身を減らしつつ、古いお金に割り増しを付けて交換した
損をしないなら、人は差し出しやすい
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お金の量が戻り、物価が落ち着いた。およそ80年動かなかった
中身を減らして、うまくいった珍しい例
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1772年9月
田沼の時代の銀貨は、中身を減らさず、金の単位で額を書いた
8枚で小判1枚と換わる
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1837年〜
天保には、中身を減らした差益が幕府の収入の3割を超えた
改革者・水野忠邦も、やめられなかった
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1877年
明治政府は西南戦争の費用を、紙幣を刷って払った。物価が上がった
決めたのは、政府のほう
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明治14年〜
松方正義は刷りすぎた紙幣を集めて燃やした。紙幣の値は戻った
痛みを負ったのは、農村の人々
2数字で見る
84 → 65パーセント台
小判の金の割合。白石が戻し(正徳)、吉宗がまた下げた(元文)
3あなたならどうする?
あなたは明治の村で米を作っています。政府が紙幣を集めて燃やし、物価が下がり始めました。あなたの暮らしは?
選んでみてください
物が安くなって楽になる
物価が下がると、作った米の値も下がります。借金の額はそのまま残り、収入だけが減りました。
米の値が下がって苦しくなる
実際に、痛みを負ったのは農村でした。「戻す」政策は正しいけれど痛い。そして痛むのは、たいてい決めた人ではありません。
お金の政策を見るときは「誰が得をして、誰が損をしたか」まで書いて、はじめて成績になります。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 荻原・新井・田沼・松方の四人を、下げる側と戻す側に分けられる。
- 「戻す」政策が誰に負担を強いたかを説明できる。
- 南鐐二朱銀が、下げるでも戻すでもない第三の手だった理由を言える。
詳しい案内
講座の番号:C09
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習9問・コイン4点・読む教材8件・参考文献2件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 同じ問いへの四つの答えを、条件の違いから比べられるようになる。
- 白石・吉宗・水野・明治政府の改鋳(改革)の成績を、事実で比較できる。
- 「中身を減らす改鋳がうまくいった例」(元文)の条件を説明できる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
- 金貨・銀貨の中身はなぜ変わったか
分かること:品位低下がどの順番で進むかを、段階に分けて説明できる。
本文の第1・5・6節で、この講座に触れています。 - 額面と実際の値打ち
分かること:名目価値と実質価値の差を、具体的な一枚で説明できる。
本文の第2・3・7節で、この講座に触れています。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習9問(確認7・比較1・記述1)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 下げた男 — 荻原重秀行為は記録に残り、動機は伝聞に頼る。人物を追うときは、この非対称を意識する。
- 第三の手 — 田沼意次と南鐐二朱銀下げる/戻すの二択に見えても、第三の手がありうる。額面の設計や、財源そのものの変更。
- 焼いた男 — 松方正義と、その代償「戻す」政策は正しいが痛い。そして痛むのは、決めた人ではない。
- 四人を並べて、何が問えるか四人は同じ問いへの違う答え。ただしこの鎖には材料の偏りがある。制約は隠さず書く。
- 戻して、細らせた男 — 新井白石三度の上書で荻原を退け、品位を戻し、経済を細らせた。理想の勝利の成績表。
- 捨てられる人 — 吉宗と元文の増歩自分の信じた良貨を二十年で捨て、増歩つきで下げた。うまくいった改鋳の稀な例。
- 出目なしには回らない — 天保の袋小路改鋳の差益が歳入の三割を超える。改革者・水野忠邦すら、この仕組みを断てなかった。
- 紙で戦った政府 — 西南戦争と松方の前提戦費の九割を紙で払い、インフレが来た。松方(第3節)の焼却は、この後始末だった。
読む教材(8)
- 江戸 勘定所 日本 改鋳の世紀 1658〜1713年
第1節。下げた側の記述です。引用の注記まで含めて読んでください - 江戸 日本 改鋳の世紀 1772年
第2節。品位を下げずに額面で解こうとした第三の手です - 東京と農村 日本 西南戦争とインフレ 1881〜1885年
第3節。「けれど、その代償は」以下を、必ず最後まで読んでください - 江戸城・日本橋 日本 飢饉と打ちこわし 1772〜1788年
第2節。「算盤の置き換え」という言葉が出てきます - 江戸・大坂堂島 日本 改鋳の世紀 1736年
第6節。うまくいった「下げる改鋳」。増歩の設計と八十年の安定 - 江戸 勘定所 日本 飢饉と打ちこわし 1837〜1842年
第7節。出目が歳入の三割超——依存の構造の実数 - 東京 紙幣寮 日本 西南戦争とインフレ 1877年
第8節。「紙で戦費を払うと決めたのは、政府のほうです」 - 町と村 日本 西南戦争とインフレ 1878〜1881年
第8節。インフレの損得の非対称。村と町と国
参考文献
- 日本貨幣史 — 日本銀行金融研究所 貨幣博物館 古代(7世紀後半〜)から近代までの時代別解説。和同開珎以前の商品貨幣、渡来銭とびた銭、江戸の貨幣単位と交換相場、円の誕生と金本位制
- 常設展示(貨幣博物館) — 日本銀行金融研究所 貨幣博物館 実物にもとづく常設展示の解説。大判の製造目的と仕様、日本最古の紙幣「山田羽書」、日本銀行券の肖像
この講座の本文で参照した本と資料です。