名目主義
C08 — 人物の鎖

「貨幣は国家が造るもの。瓦礫であっても通用させられる。」
監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 8 分(本文 4,116 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 11 問・実物 4 点・読む教材 8 停
この科目で、できるようになること
- 名目主義という考え方を、一文で説明できる。
- 有名な引用の出所を確かめる手順を実演できる。
- 名目主義が成功した条件と、失敗した条件を対比できる。
- 「制度の死を見せる儀式」が何のために行われたかを説明できるようになる。
- 荻原重秀の言葉の伝承と、名目主義の先がけという読み直しを、留保つきで説明できる。
- 名目が機能する条件(規律への信認)を、成功例と失敗例の対で論じられる。
レッスン(8節)
- 魅力的な引用ほど、出所を確かめる魅力的な引用ほど当人からの距離を測る。距離が遠ければ「そう伝えられた」と書けば使える。
- 紙を株に換える — ジョン・ローの仕掛け名目は実質から離れられるが、離れる速さに限度がない。期待は一晩で倍になれる。
- 制度の死を、人前で見せる「もう刷らない」は言葉では信じられない。取り返しのつかない事実を作るしかない。
- 偽札が、武器として使われた名目主義の紙幣は偽造に弱い。定めた事実が届かなくなるから。痕跡は新聞にも残る。
- 先取りと読み直される男 — 荻原重秀「瓦礫を以って」の言葉は伝承。けれど読み直しは、伝承の真偽と別に成立する。
- 名前が自立した帳簿 — カロルスグルデンの静かな実験金からも銀からも自由な単位。名目主義は、思想より先に商人の帳簿で実現していた。
- 信用を設計した男たち — レンテンマルクの証明土地への抵当権という象徴的な裏づけで、物価が止まった。名目主義の実験の成功例。
- 名目の時代の生存条件 — 痛みと独立全通貨が名目になった現代。生存条件は、痛みに耐えることと、番人の独立。
読む教材(8)
- 改鋳の世紀 日本 1658〜1713年 江戸 勘定所
第1節。引用と、その出所への注記まで含めて読んでください - ジョン・ローの泡 フランス 1717〜1720年 ミシシッピとパリ
第2節。債務の株式化という仕掛けの説明です - 刷りすぎた紙 フランス 1796〜1797年 パリ ヴァンドーム広場
第3節。道具を人前で燃やす儀式の場面です - 大陸紙幣 アメリカ 1775〜1779年 ニューヨーク、英軍の占領地
第4節。偽造が経済戦の武器になる場面です - 帳簿の上の貨幣 オランダ 17世紀 アムステルダム、運河の町並み
第6節。台帳の残高が貨幣になる——実務の名目主義 - レンテンマルクの奇跡 ドイツ 1923〜1924年 通貨委員の執務室
第7節。規律の人格化としての通貨委員 - 大インフレとボルカーの冬 アメリカ 1980年代 中央銀行という制度
第8節。「守れる。ただし、条件がある」 - 二つのルーブル ロシア 1789年 パリ
同じ語源から名を取った二枚の紙が、片方は没収した教会の土地を、片方は銅貨との兌換を裏づけにしました。名前が似ている理由ではなく、何を裏に置いたかの違いを見に行ってください。
評価方法
科目内の演習 11 問(確認 7・比較 1・記述 3)。到達は自己評価で記録します。