銀行と信用
B12 — 横断テーマ

信用とは、支払いを先に延ばせること。 それだけです。
監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: 科目本文 約 8 分 + 教本 約 48 分 = 約 56 分 / 本文のほかに、演習 10 問・読む教材 11 停・参考文献 4 件
この科目で、できるようになること
- 「信用がある」を、具体的な取引の動作として言い換えられる。
- 取引所・銀行券・中央銀行が、どんな不便を解いたのかをそれぞれ言える。
- 取り付けが起きる仕組みを説明できる。
- 信用が国境を越えて崩れる経路を、実例でたどれるようになる。
- 銀行の語源から複式簿記・帳簿決済まで、初期銀行業の道具立てを説明できる。
- 「最後の貸し手」の欠如・私人による代行・制度化・機能不全を年表で語れる。
教本 — TEXTBOOK
レッスン(8節)
- 信用は「省略」である信用とは確認の省略。省略された確認は消えたのではなく、誰かに移されている。
- 名前が固定されると、それは制度になる個人の名が固定されて型の名になったとき、貨幣は制度になる。
- 取り付けは、正しい判断の集まりで起きる取り付けは非合理では起きない。個々が合理的だからこそ止まらない。
- 八編すべてで、いちばん厚い主題貨幣史は金属の話であるより信用の話。ただし件数には、書き手の関心という偏りも入る。
- バンコという机 — 銀行の言葉の生まれた場所銀行は机、破産は壊れた机。言葉の来歴に、初期銀行業の道具立てが全部詰まっている。
- 戦争が生んだ番人 — イングランド銀行国債と中央銀行は双子として生まれた。国家の信用がお金を生む仕組みの原型。
- 二度殺された中央銀行 — アメリカの百二十年作って、殺し、作って、殺し、火事で思い知り、三度目は「恐れを構造にした」形で建てた。
- 最後の貸し手 — いない冬、いた朝制度が在ることと、機能することは別。最後の貸し手は建物ではなく、判断と言葉で立つ。
ケーススタディ — 教材で使う(11)
- アントウェルペンの世紀 オランダ 1531年 アントウェルペン、新取引所
第1節。「あらゆる国、あらゆる言語の商人の用のために」の献辞を原文で - スターリングの名 イギリス 1180年〜 イングランドの市場
第2節。王が代替わりしても銘が変わらなかった話です - 一九三一 イギリス 1931年 ロンドン・シティ
第3節。取り付けが国境を越える場面を確かめてください - チャーチルの誤り イギリス 1925年 ロンドン・書斎
ケインズが蔵相を名指しで批判した小冊子。信用の判断が誰の手にあったかを考える材料です - イタリア 総論・世界2700年 後 14世紀 バンコと破産
第5節。バンコとバンカ・ロッタ。銀行の言葉の生まれた机 - 金融の誕生 総論・世界2700年 後 1694年 イングランド銀行
第6節。国債と中央銀行が双子として生まれた記録 - 1907年恐慌 アメリカ 1907年 ニューヨーク、モルガンの書斎
第7節。書斎の灯りの下で、私人が国の金融の運命を裁いた夜 - 1929 アメリカ 1930〜1933年 連邦準備制度
第8節。「あなた方が正しい、我々がやった、二度とやらない」 - 机が、銀行になった ギリシャ 前377〜前373年 デロスのアポロン聖域
神殿もまた銀行だった時代の帳簿です。年に一割の定率で貸し出し、十三の都市国家が借り入れた記録が、石に刻まれて残っています - 現金を運ばずに払う インド 17〜18世紀 両替の店
両替商が手形を振り出し、預金を受け、遠くへ送っていました。ヨーロッパで銀行が形を整えていくのと同じ時代に、別の場所で、同じ必要から似た仕組みが育った記録です - 預けた鍵 トルコ 1863年〜 銀行の金庫室
発券という主権の鍵を、三十年の約束で外国資本の銀行に預けた国の記録です。同じ十九世紀に自前の国家銀行を建てた隣国と並べて、信用を輸入する代わりに何を担保へ入れたのかを読んでください
評価方法
科目内の演習 10 問(確認 7・比較 0・記述 3)。到達は自己評価で記録します。
参考文献
- 'As Close as Lips and Teeth' — The Daiichi Ginko and Megata in Korea — MPRA (Munich Personal RePEc Archive) 第一銀行券の法貨化と目賀田財政顧問の研究論文
- An Analysis of the Bank of Chosen's Balance Sheet — Johns Hopkins IAE 朝鮮銀行の貸借対照表分析(円との等価・準備構成)
- Details of the Bank of England loan to the government in 1694 — Bank of England 1694 年の政府への貸付(120 万ポンド)の記録。
- Who owns the Bank of England? — Bank of England 設立時は民間の銀行で、のちに中央銀行の役割を担うようになった経緯。
実在を確認した文献・一次資料のみを載せています。