NOMISMA SCHOLA
PRACTICE / ニュース翻訳帳

ニュース翻訳帳 — 「現金が消える」を分母から読む

「キャッシュレス比率が急上昇」の見出しは、何が増えたと言っているのか

使う場面 新聞やテレビで、決済比率や「現金離れ」の数を見た日

見出し

「キャッシュレス決済比率 58%」「現金離れ加速」。見出しには数が一つ載ります。その数の分母を見ないと、減ったのが何かは分かりません。

数の中身

経済産業省は 2025 年のキャッシュレス決済比率を 58.0%(162.7 兆円)と公表しました。金額の比率で、分母は国内の消費支出です。前年の 2024 年は 42.8%(141.0 兆円)でした。一年で 15 ポイント上がったように見えますが、2025 年から「国内指標」に変わり、分母から持ち家の帰属家賃などが外れています。同省は、2020〜2024 年の実績では国内指標の方が 8〜9 ポイント高いと書いています。二つの年を並べるなら、同じ指標で並べます。

件数と金額

同じ「現金以外」でも、金額と件数で姿が違います。2025 年の分子の内訳は、金額ではクレジットカードが 82.7%、コード決済が 10.2%、電子マネーが 3.7% です。ユーロ圏では欧州中央銀行が件数で数えます。2024 年、店頭の支払いのうち現金は件数で 52%、金額で 39% でした。件数では現金が最も多い手段で、金額ではカードが 45% で上回ります。

残っている現金

減った現金と、残っている現金は別の数で測られます。日本銀行は 2020 年の方針で、日本の現金流通高は名目 GDP の二割ほどと高い、と書きました。2025 年の大晦日に年を越した銀行券は 120.6 兆円・183.2 億枚です。支払いの場面で現金の割合が下がることと、出回っている現金の量が減ることは、別の出来事です。

自分の場合

自分が一週間に払った回数のうち現金が何回か、金額のうち現金がいくらか。件数と金額の両方で数えると、記事の数が自分に当てはまるかどうかが見えます。

手順

  1. 分母を探す消費支出か、店頭の支払い件数か、出回っている現金の量か
  2. 件数か金額か件数では現金、金額ではカードが多くなりやすい
  3. 物差しが変わった年か指標の定義が変わった年は、前の年と並べない
  4. 残っている数も見る使われる割合と、出回っている量は別の数

他の国では

ユーロ圏では 20 か国のうち 14 か国で、2024 年の店頭の支払いは件数で現金が最も多い手段でした。65 歳以上に限ると現金は 57% です。同じ「減った」でも、数え方で姿が変わることは、国を問いません。

出典(史料室)

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