NOMISMA SCHOLA
PRACTICE / 判断の手順書

新しい払い方を使う前の五問 — 誰の負債か・帳簿・先か後か・取り消し・相談先

新しい払い方を勧められた。使う前に何を確かめるか

使う場面 スマートフォンの決済アプリ、新しいカード、ポイントの残高、暗号資産やドルに結ばれたコインを勧められたとき

払い方の名前は毎年増えます。名前で見分けるのではなく、五つの問いで見分けます。五つのうち一つでも答えられなければ、まだ使う段階ではない、と考える手順です。

一問目の答え方

現金は日本銀行の負債、口座の預金は銀行の負債、電子マネーの残高は発行会社の負債です。ドルに結ばれたコインも発行会社の負債で、ドルそのものでも預金でもありません。ビットコインは誰の負債でもありません。日本の法律は、電子的な価値を「前払式支払手段」「電子決済手段」「暗号資産」の三つの箱に分けます。分ける基準は素材ではなく、通貨との約束の有無です。

二問目の答え方

国際決済銀行は、お金に三つの試験を課します。どこでも同じ一円で通るか、必要なときに増えるか、不正に使われにくいか。銀行預金がどの銀行でも同じ一円で通るのは、銀行どうしの支払いが中央銀行の帳簿で決済されるからです。発行会社の残高やコインには、その帳簿がありません。

三問目から五問目

先に渡す払い方では、お金は使う前から発行会社の手の中にあります。後で払う払い方では、引き落としの日まであなたが負債を負います。現金は渡した瞬間に終わり、戻りません。困ったときに言う相手が発行会社の窓口だけなら、その会社が倒れたときの行き先が無い、ということです。

自分の場合

いま自分が使っている払い方を一つ選び、五つの問いを順に当ててみます。答えられなかった問いが、次に調べることになります。

手順

  1. 誰の負債か中央銀行・銀行・発行会社・誰でもない。名前ではなく、この四つのどれかで言う
  2. 中央銀行の帳簿で決済されるかどこでも同じ一円で通る根拠。銀行預金にはあり、発行会社の残高には無い
  3. 先に渡すか、後で払うかお金がいまどこにあるか。先に渡すなら発行会社の手の中、後で払うなら自分の負債
  4. 取り消せるか現金は戻らない。カードは覚えのない請求をカード会社に相談できる。送ったコインは戻らない
  5. 困ったら誰に言うか発行会社の窓口の他に、消費者ホットライン 188 と、金融庁の相談室がある

他の国では

原理は各国で同じです。米国では 2025 年 7 月に成立した法律が、ドルに結ばれたコインの発行者に流通額の一対一の準備と、保有者に利息を払わないことを求めました。ユーロ圏と英国の中央銀行は、自らのデジタル通貨について「発行の決定はしていない」と頁に書いています。

出典(史料室)

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