お金の値打ちは誰が決めるのか
ジョン・ローや荻原重秀の議論を手がかりに、素材と額面の関係を考えます。
本文を読む目安:約8分
確認問題は任意です(この時間に含みません)
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3分でわかる お金の値打ちを決めるもの
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- あなたならどうする?
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横に送って見られます
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お金の値打ちは中身ではなく、国が決める。そんな考え方がある
中身の金属でなく「決めごと」で立つお金
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元禄
日本の荻原重秀は「瓦礫でも通用させられる」と言ったと伝わる
本人が言ったかは確かめようがない
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フランスのジョン・ローの会社の株は、500から1万まで上がった
中身ではなく、期待が20倍になった
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1796年
パリでは、紙幣を刷る道具を人前で燃やした
「もう刷らない」を見せるため
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紙幣はにせ札に弱い。戦争では、にせ札が武器にされた
どれが本物か分からなくなる
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オランダでは、銀行の帳簿の残高そのものがお金になった
考え方より先に、商人の実務が動いた
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1923年11月
ドイツの新しいお金は「刷りすぎない約束」を信じさせ、物価が止まった
裏づけは土地。増やせないもの
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1971年〜
今のお金はみな「決めごと」。痛みに耐えることと、番人の独立が条件
番人=政治から離れた中央銀行
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20倍
ローの会社の株。500リーヴルから、およそ1万リーヴルへ
3あなたならどうする?
あなたは国の役人です。紙幣を刷りすぎて、誰も紙幣を信じません。「もう刷りません」と信じてもらうには、どうしますか?
選んでみてください
「もう刷らない」と宣言する
それまで何度も「もう刷らない」と言って刷ってきたので、言葉だけでは信じてもらえませんでした。
刷る道具を人前で燃やす
実際に1796年、パリの広場で紙幣を作る銅版と型が燃やされました。刷れなくなったことを、全員に見せたのです。
言葉ではなく、取り返しのつかない事実を作る。約束を信じさせるには、それが要りました。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 名目主義という考え方を、一文で説明できる。
- 有名な引用の出所を確かめる手順を実演できる。
- 名目主義が成功した条件と、失敗した条件を対比できる。
詳しい案内
講座の番号:C08
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習11問・コイン4点・読む教材8件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 「制度の死を見せる儀式」が何のために行われたかを説明できるようになる。
- 荻原重秀の言葉の伝承と、名目主義の先がけという読み直しを、留保つきで説明できる。
- 名目が機能する条件(規律への信認)を、成功例と失敗例の対で論じられる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
- 額面と実際の値打ち
分かること:名目価値と実質価値の差を、具体的な一枚で説明できる。
本文の第2節で、この講座に触れています。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習11問(確認7・比較1・記述3)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 魅力的な引用ほど、出所を確かめる魅力的な引用ほど当人からの距離を測る。距離が遠ければ「そう伝えられた」と書けば使える。
- 紙を株に換える — ジョン・ローの仕掛け名目は実質から離れられるが、離れる速さに限度がない。期待は一晩で倍になれる。
- 制度の死を、人前で見せる「もう刷らない」は言葉では信じられない。取り返しのつかない事実を作るしかない。
- 偽札が、武器として使われた名目主義の紙幣は偽造に弱い。定めた事実が届かなくなるから。痕跡は新聞にも残る。
- 先取りと読み直される男 — 荻原重秀「瓦礫を以って」の言葉は伝承。けれど読み直しは、伝承の真偽と別に成立する。
- 名前が自立した帳簿 — カロルスグルデンの静かな実験金からも銀からも自由な単位。名目主義は、思想より先に商人の帳簿で実現していた。
- 信用を設計した男たち — レンテンマルクの証明土地への抵当権という象徴的な裏づけで、物価が止まった。名目主義の実験の成功例。
- 名目の時代の生存条件 — 痛みと独立全通貨が名目になった現代。生存条件は、痛みに耐えることと、番人の独立。
読む教材(8)
- 改鋳の世紀 日本 1658〜1713年 江戸 勘定所
第1節。引用と、その出所への注記まで含めて読んでください - ジョン・ローの泡 フランス 1717〜1720年 ミシシッピとパリ
第2節。債務の株式化という仕掛けの説明です - 刷りすぎた紙 フランス 1796〜1797年 パリ ヴァンドーム広場
第3節。道具を人前で燃やす儀式の場面です - 大陸紙幣 アメリカ 1775〜1779年 ニューヨーク、英軍の占領地
第4節。偽造が経済戦の武器になる場面です - 帳簿の上の貨幣 オランダ 17世紀 アムステルダム、運河の町並み
第6節。台帳の残高が貨幣になる——実務の名目主義 - レンテンマルクの奇跡 ドイツ 1923〜1924年 通貨委員の執務室
第7節。規律の人格化としての通貨委員 - 大インフレとボルカーの冬 アメリカ 1980年代 中央銀行という制度
第8節。「守れる。ただし、条件がある」 - 二つのルーブル ロシア 1789年 パリ
同じ語源から名を取った二枚の紙が、片方は没収した教会の土地を、片方は銅貨との兌換を裏づけにしました。名前が似ている理由ではなく、何を裏に置いたかの違いを見に行ってください。