NOMISMA SCHOLA

収集の歴史

B18 — 横断テーマ

収集の歴史 — 科目の口絵

集めるという行為にも、歴史がある。 権力の道具として、学問の土台として、そして手のひらの歴史として——収集の二千年を辿る横断テーマです。

監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 6 分(本文 3,096 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 6 問・実物 2 点・読む教材 6 停・参考文献 3 件

この科目で、できるようになること

  • 収集の動機の三つの型(誇示・貯蔵・学問)を実例つきで説明できる。
  • 「名物狩り」を、収集が権力の道具になった実例として論じられる。
  • ホードと収集の関係——土の中の供給網を説明できる。
  • 「価値の翻訳」という視点で、現代の収集を位置づけられる。

レッスン(6節)

  1. 権力が集める — 信長の名物狩り集めた茶器は恩賞になった。収集は、権力が価値を決められることの誇示でもある。
  2. 土に貯める — ホードという意図せぬ収集埋めた人は収集家ではなかった。けれど土の中の貯蔵が、千年後の史料になった。
  3. 学問が集める — 帳簿と標本の系譜数えるための収集が、貨幣学を作った。ハミルトンの帳簿も、フィゲロラの九十七種も。
  4. 生き残った証人 — なぜ古い一枚に価値があるのか国家が滅びても一枚は残る。収集の価値の源泉は、金属ではなく生存にある。
  5. 来歴が価値になる — 収集の成熟発見の記録、持ち主の系譜、カタログの履歴。成熟した収集は、物語ごと集める。
  6. 誰もが集め手になれる — 手のひらの一枚から寛永通宝は数百円で手に入る。収集の入口は、驚くほど近くにある。

読む教材(6)

  • 信長 日本 1570年代〜1582年 安土・京
    第1節。収集が権力装置になった、最も露わな実例
  • 一枚の伝記 総論・世界2700年 千年 土の中の眠り
    第2節。タイムカプセルとしての一枚
  • 九十七種類の貨幣 スペイン 1868年 市場の店先
    第3節。数えるための収集。九十七という時代の肖像
  • エピローグ 総論・世界2700年 現代 なぜ古銭を手にするのか
    第4節。生き残った証人。この主題の主文
  • 復興から手のひらへ 日本 現在 手のひら
    第6節。入口の近さと、手のひらの三百年
  • 死んだ王の名で ギリシャ 前323〜前65年頃 大英博物館の型録
    王が玉座にあった歳月は一三年ほど、その名を掲げた型は大英博物館の型録でおよそ四一〇〇種。集めて数え上げたからこそ見える釣り合わなさを確かめてください。

評価方法

科目内の演習 6 問(確認 4・比較 1・記述 1)。到達は自己評価で記録します。

参考文献

  • ANS Digital Library — American Numismatic Society 貨幣学の学位論文・オークション目録・電子書籍のオープンアクセス書庫。150年の刊行物を無料で読める
  • Coins and Medals — The Fitzwilliam Museum, University of Cambridge 22万点を超える貨幣・メダル・トークン・紙幣の所蔵。研究と教育の拠点としての貨幣室
  • About the American Numismatic Society — American Numismatic Society 1858年創立の貨幣学協会。所蔵・図書館・刊行の体制についての自己記述

実在を確認した文献・一次資料のみを載せています。