貨幣と文学
F3 — 隣の学問

方丈記の飢饉、折たく柴の記の弾劾、ホメロスの牛。 物語と記録文学の中の貨幣を読み、文学を史料として扱う作法を学びます。
監修: 葉山 満 / 本文の読了目安: およそ 6 分(本文 3,095 字・毎分500字で換算。演習と読む教材の時間は含みません) / 本文のほかに、演習 6 問・実物 1 点・読む教材 5 停
この科目で、できるようになること
- 文学が「帳簿の書かないもの」を記録した実例を挙げられる。
- 『方丈記』『折たく柴の記』を貨幣史の史料として位置づけられる。
- 軍記・逸話・後世の物語を、留保つきで使う作法を実践できる。
- 貨幣のあだ名・愛称を、暮らしの言葉の史料として読める。
レッスン(6節)
- 牛何頭分 — 叙事詩の中の物差しホメロスは武具や人の価値を牛で語った。文学は、貨幣以前の価値の言葉を保存している。
- 飢饉の京を書いた人 — 『方丈記』の物価二年のあいだ世の中飢渇して——随筆の一行が、飢饉の経済の一級史料になった。
- 弾劾を自分で書いた男 — 『折たく柴の記』白石の自伝は、当事者の一級史料。そして当事者ゆえの偏りごと読む史料でもある。
- 貨幣に刻まれた詩 — ウェルギリウスの銘簒奪者は貨幣に詩句を引いた。文学の権威が、貨幣の正統性の衣装になった。
- 軍記と逸話の扱い方 — 語られた黄金軍記の逸話はそのまま史実にできない。それでも、何が語られたかは動かぬ史実である。
- 貨幣のあだ名 — 暮らしの言葉という文学袁大頭、金髪娘、緑の背中。あだ名は民衆が貨幣に書いた、最小の文学である。
読む教材(5)
- 治承・寿永の乱 日本 1181〜1182年 京 鴨川の河原
第2節。『方丈記』の一行が飢饉経済の史料になる現場 - 改鋳の世紀 日本 1714年 江戸
第3節。『折たく柴の記』——当事者の自伝という両刃の史料 - 簒奪者の造幣所 イギリス 296年 奪回されたロンディニウム
第4節。ウェルギリウスを引いた簒奪者。引用の政治学 - 信長 日本 1570年代〜1582年 安土・京
第5節。「そのまま史実とはできません」の判定と、二層目の価値 - 内戦 スペイン 1937年 共和国側の街
第6節。戦時でも消えなかった、あだ名をつける暮らしの言葉
評価方法
科目内の演習 6 問(確認 4・比較 1・記述 1)。到達は自己評価で記録します。