NOMISMA SCHOLA

キャップ・アンド・レイ

1874年 ・  ・ 十九世紀 ・ メキシコ市造幣所

キャップ・アンド・レイ(表)キャップ・アンド・レイ(裏)
Windrain / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

共和国は貨幣の顔を布告で定めた。一八二三年四月十四日の議会布告である。表はサボテンの上で蛇を咥える鷲と「メキシコ共和国」の銘。裏は「自由」の文字を帯びたフリギア帽から光条が放射する、キャップ・アンド・レイと呼ばれる意匠だ。一方で品位〇・九〇二七、重さ約二七・〇七グラムという中身は、植民地時代の八レアルをそのまま受け継いだ。図像は一新しても、秤の上では何一つ変えない。世界が三百年信じてきた銀の規格こそ、生まれたばかりの共和国が持つ最大の財産だった。