マリア・テレジア・ターラー
1780年銘 ・ 銀 ・ 十八世紀 ・ ウィーン造幣局(1780年銘の後鋳)

ヴェールをまとった女帝の胸像と、双頭の鷲。マリア・テレジア・ターラーは、女帝が世を去った千七百八十年の銘のまま、その後も打たれ続けた銀貨である。レヴァント交易の世界で「変わらないこと」を信用され、中東・アフリカでは二十世紀にいたるまで通用した——貿易銀の女王。発行者が消えても、信用された型は生き続ける。貨幣の信用が、王の生死ではなく図像と規格に宿ることを教える名例であり、ウィーンの造幣局による再鋳はいまも続いている。