NOMISMA SCHOLA

グルデングロッシェン

1486年 ・  ・ 十五世紀 ・ チロル・ハル造幣所

グルデングロッシェン(表)グルデングロッシェン(裏)
Rijksmuseum / CC0(Wikimedia Commons)

千四百八十六年、チロル大公ジギスムント——「銭多き公」の異名で伝わる君主が、ハル造幣所で打たせた大型銀貨。表に王笏を持って立つ大公、裏に甲冑の騎馬像と一四八六年の年号をめぐらせる。金のグルデン一枚に相当する価値を、豊かな銀山の銀一枚で表す——世界の大型銀貨の最初期の一枚である。この実験は三十年後、ボヘミアの谷で「ターラー」として花開き、その名はやがて「ドル」となって世界を巡る。近代銀貨の系譜の、幕開けのかたち。