偽金を作った人、追った人
チャロナーとニュートンなどの記録から、偽造と捜査の経緯をたどります。
本文を読む目安:約8分
確認問題は任意です(この時間に含みません)
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3分でわかる にせ金と守る人
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1絵で見る
横に送って見られます
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にせ金対策は、確かめる手間を減らす工夫として進んだ
印 → 縁のギザ → 機械の正確さ → 見えない仕掛け
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1640年
パリに機械が入ってから広まるまで、職人の反対で87年
守る技術の敵は、にせ金作りだけではない
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1696年〜
ニュートンは造幣局で働き、にせ金作りを追った
記録に残るのは、捕まった者だけ
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明治4年7月
藩がにせ札を作り、県の知事だった松方正義が告発した
藩は47万石を失った
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にせ金は、本物まで疑わせる。本物を殺す行い
「どれが本物か分からない」が厄介
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第二次大戦中
ナチス・ドイツは、収容所の人々にポンド紙幣を偽造させた
罪は手ではなく、命じた側にある
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令和3年
今の500円玉は、途中で角度の変わる斜めのギザと三つの層
肉眼では読めない小さな文字も
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確かめるのは機械。人は確かめなくてよくなった
守る技術が育つほど、守る人は名を残さない
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87年
パリに機械が入った1553年から、機械打ちが広まった1640年までの年月
3あなたならどうする?
国が作った硬貨なのに、書かれた額より中身がずっと薄い。これは「にせ金」でしょうか?
選んでみてください
にせ金ではない。国が作ったから
法律の上ではその通り。法は「作ってよい人が作ったか」で決めます。でも受け取る人は、中身が薄ければ損をします。
にせ金だ。中身が足りないから
受け取る人にとっては、それが大問題です。ただ法律は「作ってよい人か」で決めるので、法では本物になります。
記録の「にせ金」が、中身の話か作り手の話か。それを確かめると、読み方が変わります。
再現画
この講座で、分かるようになること
- 偽造対策の技術が、どんな順序で進んだかを説明できる。
- 「贋金」と「質を落とした公式の貨幣」を、区別して扱えるようになる。
- 偽造が政治的な意味を持った例を挙げられる。
詳しい案内
講座の番号:C10
監修: 葉山 満
本文のほかに、演習10問・コイン2点・読む教材10件・参考文献1件 所要時間の出し方
ほかに分かること
- 現代の偽造対策が何を守っているかを説明できるようになる。
- 守る側の系譜(機械の親方・告発者・現代の設計者)を人物で語れる。
- ベルンハルト作戦を「加害と被害の両義」を含めて論じられる。
この講座は、ほかの講座を読まなくても始められます。
あわせて読むと、つながりが分かる講座(任意)
- コインはどう作られたか
分かること:打刻と鋳造の違いを、できあがった一枚の見た目から言い当てられる。
本文の第1節で、この講座に触れています。
出典の確かめ方を詳しく知りたい方へ(任意)
評価方法
講座内の演習10問(確認7・比較0・記述3)。到達は自己評価で記録します。
この講座の8つの章
- 偽造対策の技術は、こう進んだ偽造対策の目的は一貫して「確かめずに済ませる」こと。現代の仕掛けは人には見えない。
- 新政府も鋳ていた — 贋金の二つの定義贋金の定義は「質」と「権限」の二つ。法は権限で定義するが、受け取る人には質が問題。
- 偽造は、政治の道具になる偽造は本物まで疑わせる。偽物を作る行為であると同時に、本物を殺す行為。
- 追跡者としてのニュートン捕まった偽造犯の記録しか残らない。だから残った記録から偽造の成功率は推せない。
- 機械が根づくまで — ヴァランと職人たち1553年にパリへ入った機械打ちが広まったのは、87年後の1640年。守る技術の敵は、贋金師だけではなかった。
- 告発した知事 — 松方正義と筑前の贋札藩の贋造を告発したのは一人の県知事だった。十二日後、廃藩置県。執行者には順番がある。
- 偽造を命じられた者たち — ベルンハルトの両義最大級の偽造作戦の一つで偽札を作らされたのは、強制収容所のユダヤ人の囚人たちだった。加害の道具と被害者が同じ手。
- 現代の設計者たち — 名も無き攻防の最前線斜めギザと微細文字と三層構造。現代の追跡者は、事件の前に設計で勝負する。
読む教材(10)
- 江戸 金座 日本 幕末の政変と贋金 1868〜1869年
第2節。帳簿を開いて、新政府も質の劣る貨幣を鋳ていたことを示す場面です - 建武の新政 日本 1334〜1335年 京 二条河原
第3節。偽の綸旨が二番目に挙がる落書です - 復興から手のひらへ 日本 2021年 造幣局
第1節。現代の偽造対策。「肉眼では読めない」に注目してください - 円の誕生 日本 1872年 フランクフルト
偽札への対処として、精密な印刷技術を海外に発注した場面です - ルイドールと機械打ち フランス 1640〜1672年 パリの造幣所
第5節。1553年から1640年まで、87年の内側の戦線。守る技術のもう一つの敵 - 東京 高輪 日本 幕末の政変と贋金 1869〜1871年
第6節。「因果とは申しません」の抑制ごと読む告発の記録 - 偽金の歴史 総論・世界 後1942年 収容所で刷られた偽のポンド札
第7節。加害の道具と被害者が同じ手だった作戦 - 検める人 ギリシャ 前375/4年 アゴラの両替台
追う側の仕組みが法文になった最古級の例です。座る場所から、務めを怠ったときの鞭五〇打まで条文が定めている——その細かさを見てください。 - 共和国とエスクード(2) ポルトガル 1925年 ロンドンの印刷工場
偽られたのが紙ではなく、発注する権限だった事件です。本物の版と本物の紙で正規の工程を通った紙幣が、どこで贋物になるのかを考えてください。 - 偽造不能券 メキシコ 1916年 カランサ政府
「偽造不能」を名に掲げた紙が、半年で百分の一になりました。偽造を防ぐ技術と、価値を守る力が別物だという答え合わせです。
参考文献
この講座の本文で参照した本と資料です。