NOMISMA
NOMISMA
TEXTBOOK 17 / 見取り図 地図・年表・数表

お金の歴史を
ひと目でつかむ

貝や布から、スマートフォンの残高まで。十二の時代でたどる入口
資料写真
表紙の実物
アテナイのフクロウ 前454〜404年・アテナイ 直径24mm
ArchaiOptix / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
First Edition(2026)

財布の一万円札は、紙なのに一万円として使えます。

昔の人は、貝や布で払い、金や銀は重さを量って払っていました。

お金の値打ちを支えるものは、時代ごとに入れ替わってきました。まず一枚のコインで、一つの入れ替わりを見てください。

まず一枚 はじめてのコイン

資料写真エレクトロンのトリテ

エレクトロンのトリテ リディア サルディス・BC 610–560・直径13mm

エレクトロン(金と銀が混じった金属)に、ライオンの頭を打ったリディア王家の硬貨です。このライオンの頭が、王家の打った印です。

  1. それまで 何を支えに払ったか金属の重さ銀や銅を秤で量って払う。払うたびに、量って質を確かめる手間がかかった。
  2. コインから 何が変わったか印を打った金属都市や王が、重さと質を保証する印を打つ。量らずに、数えるだけで払えるようになった。

次の問いは、印の保証がいつまで値打ちを支えられたかです。支えはこの先、紙の約束、国の信用、帳簿の数字へと移ります。図1でその順を、図2で十二の時代を見てください。

エレクトロンのトリテ / Unknown / Photography by CNG coins / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

図1 お金を支えてきたもの

  1. 1 物そのもの貝・布・穀物・家畜。それ自体に使い道のある物で払う。借りを記録する方法もあったコインが生まれる前
  2. 2 金属の重さ銀や銅を秤で量って払う。払うたびに、量って質を確かめる手間がかかるコインが生まれる前
  3. 3 印を打った金属都市や王が、重さと質を保証する印を打つ。数えるだけで払えるようになったはじめてのコインから
  4. 4 紙の約束預けた金属の預かり証や、「換えます」と約束した紙が、お金として回り始める中世の中国の紙幣・銀行と国の借金の時代
  5. 5 国の信用一九七一年、ドルと金の交換が止まる。紙幣は金と換えられないまま使われ続ける金と切れたお金
  6. 6 帳簿の数字預金・電子マネー・デジタル通貨。お金の多くは、銀行や中央銀行の帳簿の上の数字になったいまのお金・デジタルのお金
下へ行くほど新しい。古い支えは消えたのではなく、いまも重なっている(硬貨は金属、預金は帳簿の数字)。

図2 十二の時代

〜前7世紀 コインが生まれる前 貝や布や家畜、借りの記録、量って払う金属でやりとりした 資料写真エレクトロンのトリテ 前650〜前336 はじめてのコイン リディアやギリシャで、金属に印を打つ発明が生まれた エレクトロンのトリテ / Unknown / Photography by CNG coins / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons) 資料写真デナリウス 前335〜475 大帝国のお金 ローマや秦・漢の貨幣が、広い地域を一つにつないだ デナリウス / Unknown / CC0(Wikimedia Commons) 資料写真フィオリーノ 476〜1449 中世の三つの世界 金貨の帝国、文字だけの貨幣、そして中国で紙のお金 フィオリーノ / Francesco Bini / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons) 資料写真ポトシの八レアル銀貨 1450〜1649 銀が世界を回る 新大陸の銀が海を渡り、東アジアの需要と出会った ポトシの八レアル銀貨 / National Museum Liverpool / Frances McIntosh(PAS) / CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons) 資料写真アッシニア5リーブル(国有財産) 1650〜1815 銀行と国の借金 預かり証が紙幣になり、国が銀行からお金を借りる アッシニア5リーブル(国有財産) / フランス革命政府(国民議会) / Public domain(Wikimedia Commons) 資料写真ソブリン金貨 1816〜1913 金が物差しの時代 各国のお金が、金を物差しにして結びついた ソブリン金貨 / Heritage Auctions for the photo, William Wyon designed the coin / Public domain(Wikimedia Commons) 資料写真一〇〇兆マルク札 1914〜1944 戦争と恐慌 金の仕組みが壊れ、紙のお金が増え、恐慌が来た 一〇〇兆マルク札 / Reichsbank / Public domain(Wikimedia Commons) 資料写真一ドイツマルク札(1948年シリーズ) 1945〜1971 ドルの時代 各国はドルに、ドルだけが金につながった 一ドイツマルク札(1948年シリーズ) / National Museum of American History / Public domain(Wikimedia Commons) 1972〜2007 金と切れたお金 ドルと金の交換が止まり、国の信用が支えになった 資料写真2ユーロ記念貨(経済通貨同盟10年) 2008〜2019 いまのお金 二〇〇八年の金融危機から。銀行と中央銀行の帳簿で読む 2ユーロ記念貨(経済通貨同盟10年) / Reinhard Saczewski / Public domain(Wikimedia Commons) 2020〜 デジタルのお金 電子マネー、ビットコイン、中央銀行のデジタル通貨
札を押すと、その時代の章へ。写真は NOMISMA の実物図鑑から、その時代を表す一枚(写真の無い時代は絵)。

どこから読む?

  1. 全体を順に知りたい第1章「コインが生まれる前」から、時代を順にたどる
  2. 気になる時代から上の十二の札から、一つを押す
  3. 読み方そのものを知りたい第1号『歴史の「本当?」を確かめる』(全文無料)へ
  4. 教材の収録数を調べたい巻末の教材索引(地図と数表)へ
この本の問い

お金の値打ちは、いつの時代も、何に支えられてきたのか。

この一冊を3分で

  • お金の値打ちを支えるものは、物そのもの、金属の重さ、印を打った金属、紙の約束、国の信用、帳簿の数字と入れ替わってきました(図1)。
  • 古い支えは消えたのではなく、いまも重なっています。硬貨は金属、預金は帳簿の数字です。
  • この本は、その入れ替わりを十二の時代に分けてたどります(図2)。各章は、その時代のお金の説明と、その時代を読める章の一覧です。
  • 年表は、世紀ごとに章を並べ直したものです。同じ世紀の章が横に並びます。
  • 教材の収録数と、時代ごとの教材の数を一枚の表に並べた地図は、巻末の教材索引にまとめました。歴史をたどるのに、先に読む必要はありません。

目次

  1. 前この本の歩き方
  2. 1コインが生まれる前
  3. 2はじめてのコイン
  4. 3大帝国のお金
  5. 4中世の三つの世界
  6. 5銀が世界を回る
  7. 6銀行と国の借金
  8. 7金が物差しの時代
  9. 8戦争と恐慌
  10. 9ドルの時代
  11. 10金と切れたお金
  12. 11いまのお金
  13. 12デジタルのお金
  14. 13年表 — 世紀ごとに、章を横に並べる
  15. 後この本から、どこへ行くか
  16. 巻末SUMMARY / 教材索引(地図と数表) / DATA / QUESTIONS / DRILL / SOURCES / INDEX / REVISION HISTORY
この本の歩き方

NOMISMA の教材は、一枚の貨幣を入口に、現代のお金まで一本につなげる、という原則で組まれています。この本は、その全体を十二の時代に分けて見渡す入口です。

各章は、その時代に何がお金の値打ちを支えていたかの説明から始まります。続いて、その時代を扱う本と、その時代の章の一覧を並べます。章の名を押すと、NOMISMA の画面で読めます。

時代の境目の年は、ある年に一斉に切り替わった線ではありません。境目の前後の話は、どちらの時代にも読めることがあります。境目は幅で読んでください。

各章の説明に書いた年は、全体カリキュラム地図が時代に付けた年で、境目の年(一九一四年など)は、前後の二つの時代の説明の両方に出てきます。章の一覧は、中の話の年が多く入る時代へ、章を一つずつ振り分けたものです。この振り分けでは境目の年をどちらか一方の時代にだけ入れており、その範囲を「年代の幅(章を振り分けた年)」として示します。そのため、説明の年と一年違うことがあります。

教材の収録数と数表は、巻末の教材索引にあります。歴史をたどるのに、先に読む必要はありません。

READING PATH前に読む: 第1号『歴史の「本当?」を確かめる』(全文無料)次に読む: 第11号 通史①、気になった時代の章
第1章

コインが生まれる前

この時代のお金

コインが生まれる前のお金です。負債の記録、秤で量る金属、貝や布や家畜のような物品貨幣。

年代の幅(章を振り分けた年)
〜前7世紀
この時代を扱う本
本は未刊(通史の刊行を待つ)(通史①)
編章その章の話の年
総論・世界1 起源以前前3000〜前650NOMISMA の画面で読む
中国1 貝という記憶前1050〜2026NOMISMA の画面で読む
ここから先は

無料で試し読みできる範囲はここまでです

この先の「はじめてのコイン」「大帝国のお金」「中世の三つの世界」「銀が世界を回る」「銀行と国の借金」「金が物差しの時代」「戦争と恐慌」「ドルの時代」「金と切れたお金」「いまのお金」「デジタルのお金」「年表 — 世紀ごとに、章を横に並べる」は、購入された方向けです(本の終わりの資料も同じです)。

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