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お金のしくみ

財布の1万円と、口座の1万円は同じお金?

現金、預金、支払いのつながりを、身近な場面からたどります。

動画・9分38秒・日本語字幕あり

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「銀行・金利・物価のしくみ」
次に分かること:財布の紙幣と口座の残高を、誰の借りかで言い分けられる。
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0:00財布と口座

財布の中に、一万円札が一枚あります。そして、銀行のアプリを開くと、残高も一万円。どちらでも一万円の買い物ができる。ふだんは、それで十分ですよね。でも今日は、その二つを、少し違う方向から見てみたいんです。紙と数字だから違う。もちろん、見た目はそうです。ただ、それより大きな違いがあります。そのお金を、誰が発行しているのか。そして、その一万円を持つことで、自分は誰に何を求められるのか。ここが分かると、スマートフォンに並ぶ残高が、全部同じものには見えなくなります。

0:48預金と保管

まずは、銀行口座の一万円から始めましょう。口座に自分の名前が書いてあるので、銀行の金庫にも、自分専用の箱がありそうな気がします。田中さんの一万円。佐藤さんの一万円。そんなふうに。でも、預金は、名前のついた箱へ紙幣を一枚ずつしまうサービスではありません。それなら、銀行はずいぶん忙しいですね。振り込みのたびに、箱から箱へ紙幣を運ばなければなりません。預金を持っているとは、銀行に対して、条件に従って支払いを求められる関係がある、ということです。現金として引き出す。誰かへ振り込む。代金の引き落としに使う。使い方や時期は預金の種類によりますが、口座の数字には、そうした約束が結びついています。

1:43同じ預金の両面

自分から見ると、その預金は資産です。一方、銀行から見ると、預金者の支払いに応じる立場です。だから、銀行の帳簿では、預金は負債の側にあります。ここ、少し意外ではありませんか。自分の大切な資産が、相手の帳簿では負債になっている。でも、おかしなことではないんです。同じ約束を、両側から見ています。返してもらう側の権利と、支払う側の義務。その一組です。銀行の負債だと聞いて、直ちに危険だと考える必要はありません。まず、誰と誰の関係なのかを言い表しているんですね。

2:28物を預ける・金額を求める

同じ銀行でも、貸金庫へ封筒を預ける場面を思い浮かべると、違いが見えます。封筒の中の紙幣そのものを保管する話と、預金として一定の金額を持つ話は別です。預金から引き出すとき、自分が以前入れた紙幣と、同じ番号の紙幣でなければ困るでしょうか。ふつうは、その番号を覚えていませんよね。自分が確認したいのは、必要な金額を受け取れたかです。物をそのまま預かってもらうことと、金額の支払いを求めること。ここを分けると、預金の数字が、金庫の場所を指す札ではないと分かります。そのうえで、いつ、どんな手続きで使えるのかを、預金の契約に沿って確かめるんです。

3:16紙幣の発行者

では、財布の一万円札はどうでしょう。日本の一万円札は、日本銀行が発行する銀行券です。民間銀行の預金と同じように使える場面は多くても、発行する主体が違います。銀行券も、日本銀行の帳簿では負債として記録されます。ただし、ここから、紙幣を日本銀行へ持っていけば一定量の金と交換してもらえる、と考えてはいけません。現在の一万円札は、そのような金との交換券ではないからです。同じ負債という言葉でも、具体的に何を意味するかは、制度と一緒に読む必要があります。

3:58二行で整理

難しく感じたら、ひとまず二行で整理してください。銀行口座の一万円は、民間銀行の預金。財布の一万円札は、中央銀行が発行する銀行券。どちらも一万円と数えるけれど、同じ発行者の、同じ形のお金ではありません。

4:19ATM での引出し

ここで、実際にお金を動かしてみましょう。話を単純にするため、最初は財布に現金がなく、口座に一万円だけあるとします。その一万円を、ATMで全部引き出しました。手数料はかからないものとします。財布には一万円。口座はゼロ。さて、お金は増えたでしょうか。増えていませんね。預金という形で持っていた一万円が、現金という形へ変わりました。口座に入っていたという過去の記録と、今持っている紙幣を足して、二万円と数えることはできません。逆に、その紙幣を口座へ入金すれば、財布の現金は減り、預金が増えます。この人のお金の総額は同じでも、持ち方が変わっている。これが、残高を見るときの最初の一歩です。「いくらあるか」の横に、「何としてあるか」を置くんです。

5:19支払いと三つの層

では、財布の一万円を店へ渡す場合と、口座の一万円を店の口座へ振り込む場合はどうでしょう。現金なら、持っている紙幣を相手へ渡します。預金を使うなら、自分と相手の残高を変更する仕組みが動きます。別の銀行へ支払うなら、銀行同士の決済も関わります。ここで、三種類目のお金が出てきます。銀行などが日本銀行に持っている当座預金です。私たちがいつもの銀行に持つ預金と、銀行が日本銀行に持つ預金。名前は似ていますが、口座を持つ人と、口座を提供する側が違うんですね。家計や一般の企業は、日本銀行に預金口座を持てません。日本銀行は、個人や一般企業からの預金を受け入れていないからです。銀行同士の支払いを考えるとき、この別の層が必要になります。具体的にどう動くかは、振り込みの回で追います。今日は、同じ「預金」でも、どこの口座なのかが大切だと覚えておいてください。

6:29人の位置で並べる

ここまでを、人の位置で並べてみましょう。私たちは、財布に紙幣を持ち、銀行に預金を持つ。銀行は、預金者との約束を持ち、銀行間の決済では中央銀行のお金を使う。中央銀行は、銀行券を発行し、銀行などが持つ当座預金を提供する側にいる。お金の仕組みには、こうした違う立場が重なっています。

6:58ポイント

では、スマートフォンへ戻ります。銀行の残高の隣に、一万ポイントと表示されていたらどうでしょう。一ポイントを一円分として使えるお店もあります。でも、その表示だけで、銀行預金と同じものにはなりません。使える場所、期限、現金として受け取れるかどうか。条件を別々に読む必要があります。

7:22カード

クレジットカードで一万円払う、という場合も同じです。カードは、支払いをする方法の話です。店にはあとでカード会社が払い、自分の預金が動くのは引き落としの日です。どんなお金を、いつ使うかは、別に確認します。画面やカードという道具と、その後ろにあるお金を、混ぜないようにするんです。

7:45三つの問い

だから、新しい決済アプリを見ても、いきなり難しい技術を覚える必要はありません。この数字は誰との約束か。何に使えて、何へ替えられるか。手続きをしたあと、自分と相手のどの残高が変わるのか。この三つから入れば、仕組みを整理できます。

8:06形と購買力

もう一つ、区別しておきましょう。現金も預金も一万円と数えられることと、いつでも同じ品物が買えることは別です。同じ一万円でも、物価が変われば買える量は変わります。今日はお金の形と発行者を見ました。購買力は、また別の問いとして考えます。一度に全部を「価値」という一言へ入れないほうが、かえって分かりやすいんですね。

8:35昔の貨幣と画面の数字

昔の貨幣なら、金色か銀色か、重いか軽いか。違いが目に入りました。今は、多くのお金が、同じような画面の数字で表示されます。だからこそ、見た目よりも、その数字の後ろの関係を読む必要があります。

8:54結び

最初の、財布と口座の一万円を思い出してください。同じ一万円だから、同じ場面で使えることがある。それでも、誰が発行し、どう支払いが成立するかは違う。お金は、ただそこにある数字ではありません。人と銀行、銀行と中央銀行の間で、役割を持つものです。次に自分の残高を見るとき、金額の下に、もう一行だけ見えない説明を足してみてください。「これは、誰の、どんなお金なのか」。その一行から、現代金融の仕組みが見え始めます。

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